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NEXIについて

貿易保険法(抜粋)

昭和25年3月31日 法律第67号

第2章 株式会社日本貿易保険

第1節 総則

(会社の目的)

第3条 株式会社日本貿易保険(以下「会社」という。)は、対外取引において生ずる通常の保険によって救済することができない危険を保険する事業を行うことを目的とする株式会社とする。

(株式の政府保有)

第4条 政府は、常時、会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。

(政府の出資)

第5条 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に出資することができる。

2 会社は、前項の規定による政府の出資があったときは、会社法(平成17年法律第86号)第445条第2項の規定にかかわらず、当該出資された額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第1項中「この法律」とあるのは、「この法律又は貿易保険法(昭和25年法律第67号)」とする。

(商号の使用制限)

第6条 会社でない者は、その商号中に株式会社日本貿易保険という文字を使用してはならない。

第2節 役員及び職員

(役員等の選任及び解任等の決議)

第7条 会社の役員等(取締役、執行役及び監査役をいう。以下同じ。)の選任及び解任の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 会社の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(役員等の欠格条項)

第8条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、会社の役員等となることができない。

(役員等の兼職禁止)

第9条 会社の役員等(非常勤の者を除く。以下この条において同じ。)は、会社以外の営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、経済産業大臣が役員等としての職務の執行に支障がないものと認めて承認したときは、この限りでない。

(役員等、会計参与及び職員の秘密保持義務)

第10条 会社の役員等、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。次条において同じ。)及び職員は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。これらの者がその職を退いた後も、同様とする。

(役員等、会計参与及び職員の地位)

第11条 会社の役員等、会計参与及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第3節 業務

(業務の範囲等)

第12条 会社は、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。

一 次章の規定による貿易保険の事業を行うこと。

二 前号の業務に附帯する業務を行うこと。

2 会社は、前項の業務のほか、同項の業務の遂行に支障のない範囲内で、次の業務を行うことができる。

一 貿易保険によりてん補される損失と同種の損失についての保険(再保険を含む。)の事業を行う国際機関、外国政府等又は外国法人を相手方として、これらの者が負う保険責任につき再保険を引き受けること。

二 貿易保険以外の保険(通常の保険を除く。)であって対外取引の健全な発達を図るために必要なものとして政令で定めるものの引受けを行う本邦法人を相手方として、当該保険の引受けによって当該法人が負う保険責任につき再保険を引き受けること。

3 会社による前項各号の再保険の引受けに係る再保険料率は、第1項の業務の健全な運営に支障を生ずることのないように定めなければならない。

第13条 会社は、貿易保険により塡補される損失と同種の損失についての保険(再保険を含む。)の事業を行う国際機関、外国政府等又は外国法人を相手方として、この法律により会社が負う保険責任につき再保険を行うことができる。

(業務の委託)

第14条 会社は、経済産業大臣の認可を受けて、金融機関に対し、第12条第1項第1号の業務(保険契約の締結を除く。)の一部を委託することができる。

2 金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。

3 第1項の規定により業務の委託を受けた金融機関(以下「受託金融機関」という。)の役員及び職員であって当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(貿易保険引受基準及び再保険引受基準)

第15条 経済産業大臣は、会社が貿易保険の引受けを決定するに当たって従うべき基準(次項及び次条第1項において「貿易保険引受基準」という。)及び再保険の引受けを決定するに当たって従うべき基準(次項及び次条第1項において「再保険引受基準」という。)を定めるものとする。

2 経済産業大臣は、前項の規定により貿易保険引受基準及び再保険引受基準を定めたときは、これを公表するものとする。

(引受決定)

第16条 会社は、貿易保険又は再保険の引受けを行おうとするときは、貿易保険引受基準又は再保険引受基準に従って、貿易保険又は再保険の引受けを決定しなければならない。

2 会社は、貿易保険又は再保険の引受け(経済産業省令で定めるものに限る。)を決定しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣にその旨を通知し、相当の期間を定めて、意見を述べる機会を与えなければならない。

第4節 財務及び会計

(事業年度)

第17条 会社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

(事業計画)

第18条 会社は、毎事業年度の開始前に、経済産業省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

(剰余金の配当等の決議)

第19条 会社の剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(財務諸表)

第20条 会社は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書その他経済産業省令で定める書類及び事業報告書並びにこれらの附属明細書(第76条第4号において「財務諸表」という。)を経済産業大臣に提出しなければならない。

(責任準備金の算出方法書)

第21条 会社は、責任準備金の算出方法書を作成し、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の算出方法書に記載すべき事項は、経済産業省令で定める。

3 経済産業大臣は、第1項の認可の申請があつたときは、経済産業省令で定める基準に適合するかどうかを審査しなければならない。

4 経済産業大臣は、事情の変更により対外取引の健全な発達を図るため又は被保険者若しくは保険金を受け取るべき者の保護を図るため必要があると認めるときは、会社に対し、第1項の認可をした責任準備金の算出方法書に記載した事項を変更すべきことを命ずることができる。

(責任準備金)

第22条 会社は、経済産業省令で定めるところにより、毎事業年度末において、貿易保険の保険契約又は再保険の契約(次条並びに第37条第1項及び第4項において「保険契約等」という。)に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てなければならない。

(支払備金)

第23条 会社は、毎事業年度末において、貿易保険の保険金又は再保険の再保険金(以下この条において「保険金等」という。)であって保険契約等に基づいて支払義務が発生したもの(これに準ずるものとして経済産業省令で定めるものを含む。)がある場合において、保険金等の支出として計上していないものがあるときは、経済産業省令で定めるところにより支払備金を積み立てなければならない。

(社債及び借入金)

第24条 会社は、社債を発行し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

2 前項の規定は、会社が、社債券を失った者に交付するために政令で定めるところにより社債券を発行し、当該社債券の発行により新たに債務を負担することとなる場合には、適用しない。

(一般担保)

第25条 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 前項の先取特権の順位は、民法(明治29年法律第89号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

(政府保証)

第26条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和21年法律第24号)第3条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、会社の第24条第1項の社債又は借入金(弁済期限が一年を超えるものに限る。次条及び第28条において同じ。)に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和28年法律第51号)第2条第1項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について、保証契約をすることができる。

2 政府は、前項の規定によるほか、会社が社債券又はその利札を失った者に交付するために政令で定めるところにより発行する社債券又は利札に係る債務について、保証契約をすることができる。

(償還計画)

第27条 会社は、毎事業年度の開始前に、経済産業省令で定めるところにより、社債及び借入金の償還計画を立てて、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

(財政上の措置)

第28条 政府は、会社が、第24条第1項の規定により、社債を発行し、又は資金を借り入れることによっても、なお第12条第1項若しくは第2項に規定する業務に要する費用又は社債若しくは借入金の償還に充てるための資金の調達をすることが困難であると認められるときは、予算で定める金額の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(余裕金の運用)

第29条 会社は、次に掲げる方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他経済産業大臣の指定する有価証券の取得

二 銀行その他経済産業大臣の指定する金融機関への預金

三 信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託

四 前三号に掲げる方法に準ずるものとして経済産業省令で定める方法

(経済産業省令への委任)

第30条 この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、会社の財務及び会計に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。

第5節 雑則

(監督)

第31条 会社は、経済産業大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 経済産業大臣は、会社の運営又は管理について、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときその他この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(報告及び検査)

第32条 経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社若しくは受託金融機関に対して報告をさせ、又はその職員に、会社若しくは受託金融機関の事務所その他の施設に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。ただし、受託金融機関に対しては、その委託を受けた業務の範囲内に限る。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(定款の変更)

第33条 会社の定款の変更の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(合併、会社分割、株式交換、事業の譲渡及び譲受け並びに解散)

第34条 会社を当事者とする合併、会社分割、株式交換、事業の全部又は一部の譲渡及び譲受け並びに会社の解散については、会社法第2編第7章及び第8章並びに第5編第2章、第3章及び第4章第1節の規定にかかわらず、別に法律で定める。

(財務大臣との協議)

第35条 経済産業大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。

一 第14条第1項、第18条、第19条、第21条第1項、第24条第1項、第27条又は第33条(会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするとき。

二 第21条第2項若しくは第3項、第22条又は第29条第4号の経済産業省令を定めようとするとき。

三 第29条第1号又は第2号の規定による指定をしようとするとき。

(国際約束の履行上必要なものと認められる会社の債権の免除等に係る交付金)

第36条 政府は、会社が外国政府等、外国法人又は外国人に関する貿易保険又は再保険に関して取得した債権又は回収金を受ける権利(以下この条において「債権等」という。)についてその免除をし、又は放棄をした場合において、その免除又は放棄をしたことが我が国が締結した条約その他の国際約束に照らして特に必要なものであると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に対し、その免除又は放棄をした債権等の額の全部又は一部に相当する額の交付金を交付することができる。

(法人税に係る課税の特例)

第37条 会社が、各事業年度について青色申告書を提出する法人である場合において、当該事業年度において、責任準備金の積立てに当たり、保険契約等に基づく債務の履行に備えるため、当該事業年度の決算において積み立てる責任準備金の金額のうち外国貿易その他の対外取引において生ずる為替取引の制限その他通常の保険によって救済することができない危険で将来発生が見込まれるものを勘案して財務省令で定める金額以下の金額を損金経理(法人税法(昭和40年法律第34号)第72条第1項第1号に掲げる金額を計算する場合にあっては、同項に規定する期間に係る決算において費用又は損失として経理することをいう。)の方法により異常危険準備金として積み立てたとき(当該事業年度の決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法により異常危険準備金として積み立てたときを含む。)は、その積み立てた金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

2 会社の各事業年度開始の日の前日を含む事業年度において前項の規定により当該前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された異常危険準備金の金額(当該前日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には、第4項の規定により当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入された異常危険準備金の金額)がある場合には、当該異常危険準備金の金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

3 第1項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に異常危険準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該確定申告書等にその積み立てた金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。

4 連結親法人である会社が、各連結事業年度において、責任準備金の積立てに当たり、保険契約等に基づく債務の履行に備えるため、当該連結事業年度の決算において積み立てる責任準備金の金額のうち外国貿易その他の対外取引において生ずる為替取引の制限その他通常の保険によって救済することができない危険で将来発生が見込まれるものを勘案して財務省令で定める金額以下の金額を損金経理(法人税法第81条の20第1項第1号に掲げる金額を計算する場合にあっては、同項に規定する期間に係る決算において費用又は損失として経理することをいう。)の方法により異常危険準備金として積み立てたとき(当該連結事業年度の決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法により異常危険準備金として積み立てたときを含む。)は、その積み立てた金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

5 連結親法人である会社の各連結事業年度開始の日の前日を含む連結事業年度において前項の規定により当該前日を含む連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入された異常危険準備金の金額(当該前日を含む事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、第1項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された異常危険準備金の金額)がある場合には、当該異常危険準備金の金額は、当該各連結事業年度の連結所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

6 第4項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする連結事業年度の連結確定申告書等に異常危険準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該連結確定申告書等にその積み立てた金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。

7 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 事業年度 法人税法第13条及び第14条に規定する事業年度をいう。

二 青色申告書 法人税法第2条第37号に規定する青色申告書をいう。

三 損金経理 法人税法第2条第25号に規定する損金経理をいう。

四 連結事業年度 法人税法第十五条の二に規定する連結事業年度をいう。

五 連結所得法人 税法第2条第18号の4に規定する連結所得をいう。

六 確定申告書等 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第2条第2項第27号に規定する確定申告書等をいう。

七 連結親法人 法人税法第2条第12号の6の7に規定する連結親法人をいう。

八 連結確定申告書等 租税特別措置法第2条第2項第27号の2に規定する連結確定申告書等をいう。

8 前各項に定めるもののほか、会社が各事業年度終了の時において有する外国政府等を債務者とする金銭債権のうち当該外国政府等の長期にわたる債務の履行遅滞により弁済を受けることが著しく困難なものとして財務省令で定める金銭債権について法人税法第52条の規定を適用する場合における当該金銭債権に係る同条第1項に規定する個別貸倒引当金繰入限度額の特例その他会社に対する法人税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(登録免許税に係る課税の特例)

第38条 第5条第1項の規定による政府の出資があった場合において会社が受ける資本金の額の増加の登記については、登録免許税を課さない。

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