控除利息参考資料
控除利息制度の見直しについて
独立行政法人 日本貿易保険(NEXI)
1.制度改正の概要
(1) 代位取得債権に係る控除利息
1992年4月1日以降国が代位取得した債権については、控除利息を認めなかったが、2001年4月1日以降にエイジェンシーが代位取得する債権については、控除利息を認めるものとする。
2001年3月31日までに国が既に代位取得した債権については、これまでの通りの扱いとする(=①代位取得債権かつ1992年3月31日以前のdueにかかる債権は「調整係数方式」、②代位取得債権かつ1992年4月1日以降2001年3月31日以前のdueにかかる債権は「92年方式」。)
(詳細は、(2)(参考)参照)。
(2) 控除利息の配分方法=先充当方式
控除利息の充当方法については、被保険者へのサービスの向上・業務の簡素化の観点から、現行の原元本割合方式から先充当方式に変更する(例外は、イラク・北朝鮮向け債権)。
「先充当方式」とは、原元本・延滞利息(但し、リスケ上の延滞利息を除く)の回収に拘わらず、第一回目の回収時から、回収金額(厳密には 「エイジェンシー一次帰属分」)が被保険者に配分すべき控除利息の全体額(=「控除利息充当予定額」)に満つるまで、控除利息として被保険者に先充当する (足りなければ、第二回目以降へ)方式である。
適用対象は、2001年3月31日までに国が既に代位取得した債権を除く、すべての債権とする(但し、イラク・北朝鮮向け債権を除く)。
(参考)これまでの控除利息の充当方法
調整係数方式: | 原元本(=保険金支払の対象となった損失額[契約元利])・延滞利息の回収に拘わらず、回収金額に控除利息を加味した一定の割合(=調整係数)を乗ずることで、保険者と被保険者分を配分する方式。 |
92年方式: | 1992年4月1日以降に到来する決済期限で、かつ、保険者が代位取得した債権については、控除利息を認めないという方式 |
原元本割合方式: | 原元本が回収された場合に、当該原元本割合に応じた控除利息が認められる(延滞利息のみの回収の場合、控除利息は認められない)。 |
以上、(1)(2)をまとめると以下のようになる。
(3) 6か月以上の履行遅滞における控除利息の起算点
6か月以上の履行遅滞における控除利息の起算点を、2001年4月1日以降の引受案件から、現行の「決済期限又は償還期限から6月を経過した時」から「決済期限又は償還期限」とする。
現行貿易保険法第16条において、「決済期限又は償還期限(同項第5号に該当する事由によるときは、決済期限又は償還期限後6月を経過した時。以下この章 において同じ。)」と明示的に規定しており、同法第18条にいう「決済期限又は償還期限」も「6月以上の債務の履行遅滞」に該当する事由によるときは、 「決済期限又は償還期限後6月を経過した時」と読み替えるべきことを規定している。
被保険者への配分が認められる控除利息として、いずれの範囲までの金額を認めるかは政策的な問題であるとしても、現行法が明示的に定めている範囲を逸脱することは困難。よって、適用対象は、新法が適用される2001年4月1日以降の引受案件からとする。
2.新しい回収金納付額の算式方法
控除利息の先充当方式を踏まえた新しい回収金納付額の算出方法は、以下の通り(なお、ここでの条文は貿易一般保険約款を例にとる)。
(1) | 新法第25条で商法第662条(保険代位)を準用したことにより、エイジェンシーは、保険代位によって元本債権(契約元利)及びこれに随伴する延滞利息請 求権(=決済期限から保険金支払日までに元本債権から発生した延滞利息請求権)を、支払保険金額の第4条の損失額(以下「付保損失額」という)に対する割 合(以下「取得比率」という)をもって取得する。 しかしながら、対外損失額と付保損失額が異なる場合、取得比率は「支払保険金額の対外損失額に対する割合」となる。よって、対外損失額と付保損失額が等し い場合は「てん補率=取得比率」となるが、異なる場合は「てん補率≠取得比率」となる。以下、対外損失額と付保損失額が異なる場合を前提に議論を進める。 (参考)対外損失額と付保損失額が異なる場合 対外損失額と付保損失額が異なる場合とは、例えば、保険契約締結後に被保険者が輸出契約等の相手方との間で、決済期限に おける決済金額を増額したものの、保険契約上の内容変更(約款第18条)をしていない場合をいう(現行制度では、5%未満の決済金額の増額は、内容変更不 要とされている)。 この場合、第4条の損失額は保険価額が上限とされていることから、保険契約上の損失額(=付保損失額)は当該増額前の金額となるのに対して、輸出契約等上の損失額(=対外損失額)は当該増額後の金額となる。 |
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(2) | 回収費用については、原則として回収した金額の範囲内で控除することが認められていることから、まず回収金額から回収費用を控除し、実際に回収費用を負担した者に帰属させる。 (参考)回収費用の負担割合
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(3) | 次に、回収金額から回収費用を除いた金額に取得比率を乗じた金額が、エイジェンシーが保険代位により、一次的に取得した金額である。よって、一次的な被保険者及びエイジェンシー・国の帰属分は、以下の通り。
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(4) | 最後に、被保険者に控除利息を充当する(回収金があった場合に、実際に被保険者に充当される控除利息の額を「控除利息充当額」という)。被保険者に最終的に帰属する金額は、上記の「被保険者一次帰属分」に「控除利息充当額」を足した金額となる。一方、エイジェンシー最終的に帰属する金額(=エイジェンシーへの回収金納付額)は、上記の一次的な「エイジェンシー一次帰属分」から「控除利息充当額」を除いた金額となる。
(参考)控除利息充当額の算出方法
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(5) | 以上を図にまとめると、以下のようになる。なお、前提条件は、以下の通り。
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「期限前入金延滞金利」 | = | 保険金請求日までに回収した延滞利息(保険金請求までに回収した元本に係る延滞利息を除く。) |
3.控除利率の見直し
控除利息の利率については、平成13年4月1日以降の引受案件から、以下のように定める。