「制度・運用・手続き等改善の取組方針について」の検討状況のご報告

2014年1月31日

独立行政法人　日本貿易保険（NEXI）

2013年11月29日に公表いたしました「制度・運用・手続き等改善の取組方針について」に基づき、日本貿易保険では各課題について検討・実施を進めています。2014年1月末現在の検討状況についてご報告いたします。今後も引き続き本取組方針に従って、制度改善等を実行に移してまいります。

Ⅰ.既に実施済みの項目

貿易代金貸付保険、海外事業資金貸付保険の約款の英訳を最新のものに改訂【2013年11月実施済】
改訂版をHPに掲載済み。
貿易代金貸付保険、海外事業資金貸付保険の現地通貨対応通貨の追加【2013年12月実施済】
①過去20年分の為替レートデータが入手可能な通貨であること、及び②邦銀が対応可能な通貨であることを追加可能な通貨の要件とする。
国カテゴリーの変更に伴う激変緩和【2014年1月実施済】
他国の輸出者等と競争状況にある国際競争入札案件に関し、国カテ変更公表日から1ヶ月以内にNEXIに旧カテ適用の申請（NEXIの承認要）をし、かつ原則として公表日から6ヶ月以内に保険申込された場合には、旧国カテ料率を適用する。これにより、急な国カテ変更に伴う国際競争入札への悪影響を回避することが可能となる。
G格認定要件の緩和【2014年1月実施済】
現行の要件を充足しないバイヤーであっても、中央政府が原則として直接・間接100%出資するバイヤーであって、個別審査の上、実質的に政府と同一視できると判断したものについては、G格と認定できることとする。これにより、バイヤーの実態に合わせたG格認定が可能となる。

Ⅱ.2013年度内に実施予定の項目

L/Cフォーフェイティングによる保険料返還（新規）【2月に実施予定】
L/Cフォーフェイティング実行による保険料について、これまで貿易保険申込時点でL/Cフォーフェイティング実行について輸出等契約書に記載がある場合に限定しL/Cフォーフェイティング実行までの期間を対象とした保険料徴収（保険期間設定）を行っているところ、輸出等契約書にL/Cフォーフェイティング実行の事前合意がなく、事後的にL/Cフォーフェイティングを実行した場合にも内容変更による保険料精算を可能とする。
少額中長期サプライヤーズクレジット案件の簡易審査手法による引受【2月に実施予定】
少額中長期サプライヤーズクレジット案件について、短期格付審査を参考に簡易審査方式を導入し、引受を行う。
包括付保義務の緩和【2月に実施予定】
仕向地が公海等の案件の船前危険については、非常・信用とも不てん補とする。なお、船前危険のてん補を希望する場合には、従来通りてん補することも可能とする。
海外事業資金貸付保険をご利用いただく条件である政策的意義の判断に関する基準のお客様への開示【年度内を目途に実施予定】
海外事業資金貸付保険の政策的意義の判断に関する基準をお客様へ開示することで、海外事業資金貸付保険をご利用いただく条件をより明確化する。

Ⅲ.2014年4月を目途に実施予定の項目

（なお、今後の検討の結果、内容・方針に変更が生じる場合がありますので、ご留意ください。）

海外投資保険の制度改善及び解釈の明確化
- (1)　事業不能等の認定単位の緩和
  特約の付加により、事業不能等の認定単位を事業会社単位から、各事業拠点等の単位まで細分化し、これに応じた保険料率を設定する。これにより、リスクのニーズに応じたてん補範囲等の設定が可能となる。
- (2)　てん補事由の選択範囲の拡大
  ①収用・権利侵害、②戦争・不可抗力、③送金規制、のてん補事由を自由に選択できるようにし、そのリスクに応じた保険料率を設定する。
- (3)　運用の明確化・規定化
  引受、保険金査定等の運用の明確化を図り、約款等の規定を見直し、Q＆Aを作成することにより、保険商品の内容・てん補範囲等をわかりやすくする。
査定・回収制度の見直し
次の基本方針に従い、実施に向けて検討を進める。
- (1) 被保険者回収からNEXI主導の回収への方針転換（保険金請求後）
  - イ　被保険者の回収義務について、NEXIが主体的に回収方針を決定するなどにより、回収にかかる被保険者の負担を軽減する。
  - ロ　NEXI主導の回収行為にかかる費用について、回収金の範囲内の費用は代位債権相当分、回収金を超える超過費用はてん補割れ債権相当分もあわせNEXIが負担する。これにより、回収にかかる被保険者の費用負担を軽減する。
- (2) 保険金請求に伴う負担の軽減（査定の簡素化）
  - イ　保険金請求に関して各要件を証するために必要な提出書類をわかりやすく表示する。特に、バイヤーによる債務確認の内容を整理して示し、その確認方法については柔軟に対応することを明確化する。これにより、保険金請求に関する被保険者の手続き負担を軽減する。
  - ロ　損失発生通知等の様式を変更し、てん補事由の記載等を不要とする。これにより、てん補事由の判断すり合わせや請求可能な金額の事前確認に要する時間を削減し、通知や請求の遅れを回避する。
  - ハ　船後損失額の算定方法について、現行のてん補割合「保険金額／保険価額」から「証券記載の付保率」（97.5％や90％等）に変更する。これにより、小数点以下の端数処理の齟齬がなくなり、船後損失額の算定が容易となる。
- (3) 被保険者義務の明確化
  - イ　これまで必ずしも明確でなかった告知に関わる被保険者義務の内容を明確化することにより、保険制度の透明化を図り、保険金支払（査定）に係る被保険者の事務を円滑化する。
  - ロ　損失防止軽減義務について、「必須の措置」と「必要に応じて課される措置」が混在している現行規定を整理するとともに、「義務違反」に該当して保険金を払えない場合を明確化する。これにより、損失防止軽減義務違反の解釈をめぐる査定の長期化を防ぐことが可能となる。
  - ハ　「当事者間で紛争が起こっている時は、解決されるまで保険金支払いを留保する（仲裁等の決定を待ち、その結論により認められた債権について保険金を支払う）」旨を規定で明確化する。
短期保険制度の見直し
- (1)　定期審査等による格下げ不適用
  企業総合保険に関して、期中に格下（EC格まで）があった場合でも、当該特約年度中は、継続して船後信用危険をてん補することとする。これにより、安定的な取引の継続を可能とする。
- (2)　包括付保義務の緩和
  100%前払い案件（ただし、貿易一般保険包括保険（船舶）については100％一括前払い案件に限る）、円借款、無償援助案件の付保義務対象外とする。なお、てん補を希望する場合には、従来通りてん補することも可能とする。
- (3)　信用リスクの引受拡大
  - イ　与信枠の拡大
    E格全般について、総与信枠の拡大を行う。原則として、EE/EA格は最大100億円から300億円へ、EF格は最大50億円から100億円へ拡大する。これにより、従来よりも柔軟な支払限度額の設定・個別保証枠の取得が可能となる。
  - ロ　EF格審査基準の緩和
    EF格の審査基準を緩和し、現行の審査基準ではEC格となっているバイヤーについて、財務状況が一定程度以上の場合、EF格を付与する。現在、EC格とされているバイヤーのうち新たに5%程度についてEF格の取得が可能となると見込まれる。
  - ハ　支払限度額1.2倍超設定時の割増料率緩和
    企業総合保険で支払限度額設定に係る割増について、支払限度額割増係数を適用しない倍率を1.2倍から2倍までに引き上げるとともに、2倍超の場合の割増係数を軽減する。これにより、取引の増加を見込んだ柔軟な支払限度額の設定が可能となる。

Ⅳ.2014年度上期に実施する項目

定期審査等による格下げ不適用
限度額設定型貿易保険に関して、期中に格下（EC格まで）があった場合でも、当該保険契約年度中は、継続して船後信用危険をてん補することとする。これにより、安定的な取引の継続が可能となる。
貿易一般保険の重大な内容変更の取扱
重大な内容変更の手続きに関し、以下の方向性で簡素化を図る。これにより、保険事故時点での保険契約の内容を明確化すると共に、被保険者の事務手続きの負担が軽減できる。
- ●　内容変更は全て通知により行う。通知は全て任意化する。
- ●　決済期日の延長の場合は、保険責任期間内であれば常に延長に応じる。
- ●　その他の変更の場合は、通知日の審査基準に従いてん補範囲を変更する。
- ●　保険責任期間経過後の通知による変更は認めない。

Ⅴ.これから検討を進める項目

（以下については、本年4月を目処に検討内容及びスケジュールについて報告予定です。）

包括保険制度の簡素化（新規）
設備財包括保険については、取引形態の変化、事務手続き負担や商品内容の簡素化を踏まえて、これまでの商品性を一新する。また、これまでの保険料収入・保険金支払実績の収支バランスを踏まえつつ、適正な水準の保険料率を設定する。
信用リスクの引受拡大
- (1)　包括保険における船後信用てん補の拡大
  現行の審査基準ではEC格となっているバイヤーのうち、包括保険に限り船後信用をてん補可能とすることについては、Ⅲ3．（3）「ロ　EF格審査基準の緩和」等のリスクの引受拡大の状況や、保険料収入・保険金支払実績等の総合的な判断を踏まえた上で検討を開始する。
- (2)　 EF格のユーザンス制限の見直し
  ニーズを踏まえた上で、検討を開始する。
消費財包括保険の見直し（新規）
- (1)　船前・船後非常付保率60%を最低付保率とし、被保険者の希望により付保率の引上げを可能とすることを検討する。
- (2)　マイマイガによる被害に対するてん補について検討を行う。
SPC信用リスクの審査方法の検討（新規）
親会社保証の場合に加え、海外事業資金貸付保険を付保するような場合など、SPCの財務状況が把握できる場合には引受を可能とする方向で検討する。
付保申込手続き等のWEB化
お客様サービスの向上、業務効率化等の観点から各種手続きのWEB化を行い、利用しやすい保険とする。
控除利息制度の見直し
控除利息制度の見直しについて、検討を進める。

以上

＜お問い合わせ先＞

Ⅰ 既に実施済みの項目

1.	貿易代金貸付保険、海外事業資金貸付保険の約款の英訳を最新のものに改訂	総務部総務・広報グループ Tel: 03-3512-7653
2.	貿易代金貸付保険、海外事業資金貸付保険の現地通貨対応通貨の追加	営業第二部　モニタリング・管理グループ Tel: 03-3512-7675
3.	国カテゴリーの変更に伴う激変緩和	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
4.	G格認定要件の緩和	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665

Ⅱ　2013年度内に実施予定の項目

1.	L/Cフォーフェイティングによる保険料返還	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
2.	少額中長期サプライヤーズクレジット案件の簡易審査手法による引受	営業第二部　モニタリング・管理グループ Tel: 03-3512-7675
3.	包括付保義務の緩和	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
4.	海外事業資金貸付保険をご利用いただく条件である政策的意義の判断に関する基準のお客様への開示	営業第二部　モニタリング・管理グループ Tel: 03-3512-7675

Ⅲ　2014年4月を目途に実施予定の項目

1.	海外投資保険の制度改善及び解釈の明確化	総務部法務グループ Tel: 03-3512-7655
2.	査定・回収制度の見直し	債権業務部回収グループ Tel: 03-3512-7658
（1）	被保険者回収からNEXI主導の回収への方針転換	債権業務部回収グループ Tel: 03-3512-7658
（2）	保険金支払の要件の明確化と保険金請求に伴う負担の軽減（査定の簡素化）	債権業務部査定グループ Tel: 03-3512-7663
（3）	被保険者義務の明確化	債権業務部査定グループ Tel: 03-3512-7663
3.	短期保険制度の見直し	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665

Ⅳ　2014年度上期に実施する項目

1.	定期審査等による格下げ不適用(限度額設定型貿易保険)	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
2.	貿易一般保険の重大な内容変更の取扱	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665

Ⅴ　これから検討を進める項目

1.	包括保険制度の簡素化	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
2.	信用リスクの引受拡大	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
3.	消費財包括保険の見直し	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
4.	SPC信用リスクの審査方法の検討	営業第一部営業企画グループ Tel: 03-3512-7665
5.	付保申込手続き等のWEB化	営業第一部契約業務グループ Tel: 03-3512-7664/7667 営業第一部個別保険業務グループ Tel:03-3512-7610
6.	控除利息制度の見直し	債権業務部回収グループ Tel: 03-3512-7658