文字サイズ

トピックス

海事(保証債務)約款改正について

  1. 経緯
    海事保険(保証債務)は「保証債務に対する保険」という他の保険とは若干異なった性格を持つこともあり、本年4月から実施した一連の約款改正においては、他の保険種の規定との関係で必要最低限の修正を行うに留めたところです。今般、海事(貸付金債権等)約款との整合性を図りつつ、海事保険(保証債務)特有の論点を踏まえた海事(保証債務)約款の改正を行います。
  2. 主な改正点
    (1) 延滞利息の取り扱い(第2条)
    現行実務に合わせ、第2条において延滞利息が保険の対象とならない(保険価額に含まれない)ことを明確化した。

    (2) 他の保証債務(第4条、第5条、第15条)
    海事(貸付金債権等)約款の改正により、損失防止軽減義務の範囲として「保証債務履行請求権の行使・保全」を明記したが、海事(保証債務)においては、保険の対象となる保証債務以外に他の保証債務がある場合は想定しがたいため、追加しないこととした(必要であれば特約対応)。

    (3) 免責とする保険責任開始前に発生する事由(第6条第3項、第8条第4項)
    海事(貸付金債権等)約款に合わせて旧第7条第2項より移行した。なお、同項の「求償権の回収不能」は実状に合わせ「主たる債務者の保証債務に係る債務の不履行」に変更した。

    (4) 協調保証の取り扱い(第8条、第18条)
    海事(貸付金債権等)約款では、協調融資の場合を想定して、他の参加行の故意・過失も被保険者の故意・過失とみなす条文が追加されたが、海事(保証債務)において協調保証は想定しがたいため追加しないこととした(必要であれば特約対応)。

    (5) 指示に従う義務(第11条)
    貿易代金貸付約款及び海事(貸付金債権等)約款において、政策的見地等からの資金貸出の継続要請を主として想定して同旨の条項を設定しているところ、保証債務についても、これに相当するような状況も想定されると考え本条を追加した。なお、保証契約に基づく被保険者の保証履行を差し止めることは想定されていない。

    (6) 調査に応ずる義務(第17条第2項)
    海事(貸付金債権等)約款に合わせて「主たる債務者」に対する調査への協力義務を追加した。

    (7) 被保険者の意思によらない主たる債務の変更(第19条)
    海事(貸付金債権等)約款では、協調融資を想定して、「被保険者の意思によらない変更等又は被保険者が関与できない変更等は重大な内容変更としない」とするただし書きを追加したが、協調保証が想定しがたいことから追加しないこととした。

    (8) その他通知事由の整理(第20条)
    上記(7)により被保険者の意思によらない重大な内容変更等をその他通知義務から削除した(手細を変更)。

    (9) 保険料の納付、返還(第21条、第22条)
    年払い方式の廃止及び保険料100%返還に伴い、関連する規定を修正した。

    (10) 保険の目的の譲渡、質権/譲渡担保設定(第32条、第34条)
    「保険の目的の譲渡」というのはなじまないため、「保証債務の移転」に変更した。また、債務に質権や譲渡担保を設定することはできないため、「保険の目的に対する質権・譲渡担保設定」は削除した。

    (11) 保険金額の減額(旧第32条)
    海事運用規程第15条(保険金額の減額)を念頭においたもの。ほとんど使われておらず必要であれば特約対応することとし約款からは削除した(貸付金債権等約款は同様の理由により削除済)。
前のページへ戻る
ページの先頭へ