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新年の御挨拶

2018年1月4日

株式会社日本貿易保険
代表取締役社長 板東 一彦

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は格別のご厚情を賜りましたこと、皆様に心より感謝申し上げます。新しい年の始まりに際し、謹んでご挨拶申し上げます。

 昨年は日本貿易保険にとって新たに大きな一歩を踏み出した年でした。それは、刻々と変化するグローバル経済の成長の果実を得るため、日々奮闘する日本企業の皆様の背中をより後押しできるよう、数年がかりで準備をしてきた株式会社化です。

 私は代表取締役社長の就任にあたり、不確定要素に伴う日本企業のリスクを、貿易保険の提供を通じ軽減し安定した海外事業を進めていただく、という貿易保険発足以来の普遍の役割を、改めてNEXIの責務とし、皆様に3つのお約束をしました。

 1つは政府の「質の高いインフラパートナーシップ」等、政府の戦略の下、パッケージ型のインフラ海外展開、農林水産業者の方も含めた中堅・中小企業の海外展開等、政府と一体となった取組の更なる推進です。
 2つ目にお客様の声に真摯に向き合い、多様化するビジネスニーズに即した質の高い貿易保険を提供することです。
 最後に、政府の財政措置が担保されている中でも、コーポレートガバナンスを強化し、高度なリスク管理体制を構築することで財務の健全性を維持し引き続き安心して貿易保険をご利用していただくことです。

 このお約束の下、株式会社化に伴い柔軟な対応が可能になったことを生かし、潜在的なニーズであった米ドル建ての融資保険のお引き受けを開始しました。既に具体の案件でお引き受けが始まっておりますが、融資取引の太宗がドル取引となっており、今後も貿易保険の利便性を高めるものと期待をしております。
 新興国での案件受注競争は年を追う毎に激しさを増していると認識しております。資金力の弱い新興国においては、ファイナンス組成に際し必要となる弊社保険料についても資金調達を支援してほしいとの要請がありました。過年度に保険料相当額を融資対象に追加するなど運用改善を行ってまいりましたが、昨年初めてこの運用改善を具体的案件に適用しご支援をさせていただくことができました。

 多様化するビジネスニーズは融資保険分野に限られません。新興国の成長を一層皆様に取り込んでもらえるよう、輸出保険分野でも積極的な対応を行いました。少額案件のように購入代金を銀行借入により調達することが難しい海外バイヤーが、本邦輸出者に対して長期の延べ払いが必要となっている状況にお応えし、2年以上の延払案件の貿易一般保険、通称サプライヤーズクレジットの引受を再開いたしました。

 中堅・中小企業の皆様の積極的な挑戦を後押しする取組もNEXIに求められる不可欠な事業と認識しております。そもそも国内事業者数全体では 99.7%、雇用の7割、付加価値の5割を支える中堅・中小企業は「我が国経済のダイナミズムの源泉」でもあると言えます。全国各地に所在される皆様をきめ細やかにサポートできるよう提携した地方銀行・信用金庫は昨年115行まで拡大しました。このネットワークから政府も力を入れるロシア市場に挑む中小企業をご支援させていただくなど具体の成果も見え始めてきました。

 また、引き続き皆様に安心して貿易保険をご利用いただくためには、リスク管理の強化も欠かせない課題です。NEXIでは一昨年に、コーポレートガバナンス部を設けましたが、リスク管理ツールとして民間保険会社への出再を必要に応じて実施できるよう、再保険会社との関係構築を進めるとともに、お客様のご協力を得ながら関係規程の整備等を行ってまいりました。

 昨今、世界を見渡せば、BREXITをはじめグローバル化への反発、あるいは保護主義台頭の陰が見えております。しかし、日本経済を牽引する皆様のビジネスにおいて諸外国企業とのジョイントプロジェクトや海外取引は今後も一層加速していくものと確信しております。
 NEXIは世界各国の機関との関係構築・ネットワークの強化を通じ、本邦企業のお客様が外国のパートナー企業と連携して取り組むプロジェクト等、積極的に支援しています。昨年は、チェコ、イギリスのECAであるEGAP、UKEFとそれぞれ再保険協定を締結し、再保険ネットワークは22ヵ国に拡大しました。さらに、トルコの輸出入銀行やブラジルのABGF、米政府系金融機関のOPICとも協力協定を締結しております。

 今年は戌年。この干支には、「成熟」、「勤勉・努力家」という意味があるそうです。より一層、不確実性が増す世界の中で、日本・世界から必要とされる存在でありたい。そのために、日本貿易保険は更なる成熟を目指し、謙虚に皆様から学び、たゆまない努力を重ねてまいりたいと思います。

 今年も日本貿易保険をよろしくお願い申し上げます。

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