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環境への取組

Q.日本貿易保険の環境ガイドライン別紙2において「環境社会影響評価報告書にはコモンアプローチに規定される事項が記述されていることが望ましい。」とされていますが、コモンアプローチのどの部分に規定されている内容ですか。

A.

環境社会影響評価報告書に記述されることが望ましい内容は、コモンアプローチのAnnexⅡに規定されており、具体的には以下の通りです(日本語は仮訳)。
ANNEXⅡ
環境社会影響評価報告書(注)

環境社会影響評価(ESIA)報告書は、プロジェクトの重要な課題に焦点をあてている。報告書の範囲及び詳細さは、そのプロジェクトが与えうる影響とリスクに応じて決まるものであり、プロジェクトに適用される国際基準において規定されている課題に言及すべきである。また環境社会影響評価報告書は、典型的には以下の項目を含む(順不同)。

  • 1.概要 ― 重要な結果と推奨される行動について、平易な言葉で簡潔に述べる。
  • 2.政策的、法的、及び行政的枠組み ― アセスメントが実施される際の政策的、法的、及び行政的枠組みを述べる。それらには、ホスト国の規制(関連する国際的な社会・環境面の条約、協定、慣習を実行するための義務を含む)、プロジェクトに適用される国際基準、またバイヤー/プロジェクトスポンサーにより特定された社会・環境面のパフォーマンスに対する追加的な優先事項や目標も含まれる。また、共同で資金供与する機関の環境面の要求事項を説明する。
  • 3.案件の記述 ― 提出案件、及びその地理的、生態学的、社会的、衛生的、時間的背景を簡潔に記述する。それらには、必要となり得る追加的なプロジェクトの要素(例:専用パイプライン、アクセス道路、発電所、給水設備、住宅、原材料及び製品保管施設等)を含む。プロジェクトの操業に必要不可欠な第三者の施設や行動も含まれる。通常、プロジェクトサイトとプロジェクトが与える影響範囲を示す地図を含む。
  • 4.基本情報 ― 調査地域の特性を評価し、関連する物理的、生物学的、社会経済的及び衛生・労働面の条件(プロジェクトが開始する前から予期されている変化も含む)を記述する。またプロジェクト地域内での、しかしプロジェクトとは直接関係のない、現在進行中及び提案中の開発行為も考慮に入れる。ここで与えられる情報はプロジェクトの立地、設計、運営、及び緩和策に関する決定に関連すべきである。数値の正確さ、信頼度及び情報源についても、この節に記される。
  • 5.環境・社会面の影響 ― プロジェクトが与えうる正及び負の影響を、可能な範囲で定量的に予測・評価する。緩和策及び緩和不可能な残りの負の環境影響を特定する。環境を向上させる機会を探る。入手可能な情報の範囲並びにその質、重要な情報の欠落及び予測値に伴う不確実性を特定・推定し、また、更なる配慮を要しない事項を特定する。不可分一体の施設やその他第三者の行動による影響及びリスクを評価する。必要に応じて、地球規模、越境及び累積的な影響を検証する。
  • 6.代替案の分析 ― プロジェクトの立地、技術、設計、運営についての合理的な代替案を、それぞれの代替案が環境・社会面に与えうる影響、その影響の緩和可能性、初期及び経常経費、地域状況への適合性、及び必要となる制度整備・訓練・モニタリングの観点から比較する。特定のプロジェクト設計案を選択する根拠を明記し、推奨される排出レベル(関連する場合には、温室効果ガスも含む)及び汚染防止・削減策の正当性を示す。
  • 7.マネジメントプログラム ― プロジェクトの実施時に、環境・社会面への負の影響を回避、削減、緩和、修復するために取られる緩和策と管理計画(優先される順に)及びその時間軸から構成される。複数の方針、手順、実務や管理計画および行動を含みうる。可能な範囲で、期待される結果を計測可能な事象(例えば、成果指標、目標、容認基準等、一定期間にわたり追跡できるもの)として述べる。プロジェクトの実施に必要な資源(予算を含む)や責任を示す。バイヤーやプロジェクトのスポンサーがプロジェクトに適用される法令を遵守し、適用される国際基準を満たす上で必要な対策と行動を特定する際、マネジメントプログラムには、影響を受けるコミュニティに公開され、随時報告・更新されていくアクションプランも含まれる。
  • 8.添付資料
    ・環境社会影響評価報告書の作成者のリスト-個人及び機関
    ・参考資料-公表・非公表を問わず準備調査で使用された資料
    ・協議会やコンサルテーション会合の記録。影響を受けるコミュニティやその合法的な代表、その他利害関係を有する主体(例:市民社会組織)が情報提供を受けた上で有する見解を得るためのコンサルテーションの記録も含む。その記録においては、コンサルテーションの他に、影響を受けるグループの見解を得るために、どのような手法(例:調査)が取られたか特定する。
    ・本文で参照あるいは要約された関連データの表
    ・関連する報告書、監査及び計画(例:住民移転計画、先住民族/天然資源に依存するコミュニティ計画、コミュニティ衛生計画)
    ・以下の事項を記載したアクションプラン。(ⅰ)さまざまな緩和策を実施するために必要な行動や着手すべき是正措置、(ⅱ)これらの行動の優先順位、(ⅲ)実行にあたっての時間軸、(ⅳ)随時の情報公開やコンサルテーションが予定される場合は、影響を受けるコミュニティとの情報交換の日程。

(注)このAnnexはIFCのGuidance Note:Performance Standard on Social and Environmental Sustainability (2007年7月31日) に基づくが、コモンアプローチのために一部文言修正されている。

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