文字サイズ

環境への取組

Q.日本貿易保険の環境ガイドライン 別紙1(8)は、プロジェクトが先住民族の諸権利に影響を及ぼす場合、先住民族との「十分な情報が提供された上での自由な事前の合意」を求めていますが、どのような手続きや合意が求められますか。

A.

プロジェクトが先住民族に影響を及ぼす場合、当該先住民族との間で、通常の地域住民と同様、情報が公開された上での十分な協議や参加の手続を経ることが求められます(環境ガイドライン別紙1では、(5)に規定しています)。一方、先住民族がその土地や資源に関して有する諸権利については、その脆弱性に鑑み、このような通常の手続に加えて、「十分な情報が提供された上での自由な事前の合意」(Free, Prior, and Informed Consent (FPIC))を求めているものです。
FPICは、普遍的に受け入れられた定義がある表現ではありませんが、通常の協議や参加の手続に加え、事業者と先住民族の影響を受けるコミュニティ間での誠実な交渉を通じて構築されていくものと考えています。もっとも、ここにいう「合意」は必ずしも全員の合意を必要とするものではなく、例えコミュニティの中の個人やグループが明示的に反対している場合であっても達成されうるものと考えています。 FPICが求められるのは、以下のように、プロジェクトにより先住民族固有の権利等に影響がおよぶ場合です。

  • ・伝統的に所有され、または慣習的に利用されてきた土地にプロジェクトが立地し、またそのような土地の天然資源を商業的に開発する場合で、かつ負の影響が想定される場合
  • ・先住民族が共同で保有する上記の土地・天然資源から先住民族を移動させる場合
  • ・先住民族にとって重要な文化的遺産に重大な影響がある場合

なお、この考え方は、IFC のパフォーマンススタンダード7におけるFPICの解釈に沿うものであり、世界銀行の環境社会スタンダードにおいても概ね同様の項目が記載されています。

ページの先頭へ