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環境への取組

Q.日本貿易保険の環境ガイドライン別紙1(3)において「大気には温室効果ガスを含みうるが、これに関する具体的な環境社会配慮の要件等についてはコモンアプローチを踏まえた対応を行う」とされていますが、コモンアプローチにおいては、どのような規定が存在していますか。また、適合を確認する国際金融機関の基準における状況も教えてください。

A.

(1)コモンアプローチ
温室効果ガスについては、コモンアプローチ上、特定すべき環境・社会影響のうち「環境への影響」の例示として、「大規模な大気への排出(温室効果ガスの排出を含む)」という形で言及されています(Ⅳ(カテゴリ分類)第10段落)。ただし、それによって、環境レビューやモニタリング、情報公開の面で追加的な対応が求められているわけではないと理解しています。
一方コモンアプローチは、輸出信用機関による定期的な報告と情報交換を通じて、コモンアプローチの適用に関する経験の蓄積を継続していくこととしており、その一環として、温室効果ガスについては、以下をOECD事務局に報告することを輸出信用機関に求めています。(Ⅷ(報告およびモニタリング)第46段落)。
・化石燃料を使用するすべての火力発電プロジェクトからの年間排出予測量
・それ以外のプロジェクトで、年間排出量が25,000 CO2換算トン超になると予測され、かつプロジェクトスポンサー等から環境社会影響評価報告書等を通じて温室効果ガス排出量に関する必要情報が報告されている場合、温室効果ガスの年間排出予測量
なお、適切かつ実現可能な場合は、操業時の年間排出予測量について、直接的な排出量及び間接的な排出量(スコープ1及びスコープ2)、及び/もしくは、スコープ1については排出量原単位を、収集・報告することを試みるよう求めています(Ⅷ(報告およびモニタリング)第46段落)。
またコモンアプローチは、火力発電プロジェクトに対する支援を、更なる検討を要する課題の一つとして挙げており、排出原単位が700g/kWhを超える火力発電プロジェクトにおけるCO2排出の回避、最小化、オフセットの取り組みに関する報告をもとに、この検討を進めることとしています(Ⅷ(報告およびモニタリング)第47段落)。

(2)適合を確認する国際基準
適合を確認する国際基準の1つであるIFCのパフォーマンススタンダード3は、温室効果ガスについて、事業者に対し以下のような対応を求めています。
・プロジェクトの計画時および操業時において、温室効果ガス排出量の削減に資する代替案を検討し、技術的・財政的に実現可能でかつ費用対効果の優れた選択肢を実行すること。(第7段落)
・CO2換算で年間25,000 CO2トンを超える排出が見込まれ、または現に排出しているプロジェクトについて、プロジェクトによる直接的な排出量と、プロジェクトが使用するエネルギー(電力や熱等)の生産による間接排出量を定量化する。このような定量化は、国際的に認知された方法論およびグッドプラクティスに基づき年一回行う。(第8段落)
また、世界銀行の環境社会スタンダード3においては、事業者に対し以下のような対応を求めています。
・プロジェクトの設計、建設及び操業中の、プロジェクトに関連する大気放出(温室効果ガスを含む)を回避または最小限に抑えるために代替案を検討し、技術的・財政的に実現可能でかつ費用対効果の優れた選択肢を実行すること。(第15段落、脚注12)
・環境社会影響評価の一部として、プロジェクトに関連する大気汚染物質源を明らかにし、評価すること。技術的・財政的に実現可能であればプロジェクトに関連する温室効果ガス排出量の評価も含まれる。(第16段落)

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