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環境への取組

2002年環境ガイドライン制定までの経緯

第3回「貿易保険における環境配慮のためのガイドライン」
一部改正に関する説明・意見交換会

 3月25日(月)14時~15時半、日本教育会館一ツ橋ホールにおいて、標記会合を開催いたしました。今回までに約190名の方のご参加を得て、たくさんのご意見、ご質問を頂きました。以下は、当日の様子について、質疑応答を中心に取りまとめたものです。(ホームページ上での公開にあたり、各参加者の方にはご自分の発言内容の書きぶりについてご確認を頂いておりませんので、文責は日本貿易保険にありますことをご了解願います。)

日本貿易保険の出席者: 佐藤審査部長
坂口環境グループ長
植田調査役(審査グループ)
細野調査役(環境グループ)

ご挨拶

(佐藤審査部長)
審査部長の佐藤でございます。
本日は、環境ガイドライン改正に関します説明・意見交換会にご参加頂きまして有り難うございます。現在、日本貿易保険では、環境配慮ガイドライン改正の最終作業に取り組んでおりますが、今回の改正に当たりまして、1月30日と2月21日の2回にわたり説明・意見交換会を開催させて頂きまして、延べ140名近くの皆様のご参加を頂きました。皆さまから多くのご意見やご質問を頂きましたところでございます。また、私どものホームページ上でも、1月30日にガイドライン改正案について公開をさせていただきまして、2月28日までパブリック・コメントを募集させて頂いたところでございます。
これらの機会を通じまして、皆さまからは、ガイドライン全般に関しますご意見、あるいは環境レビュー、情報公開など環境配慮確認手続きの各項目に関しますご意見等を頂戴してございます。この場をお借りしまして御礼申し上げます。私共と致しましてはこれまで頂きましたご意見につきまして、日本貿易保険として改正ガイドラインにどういう形で反映していくか、私どもの考え方、対応を整理いたしました。今回は、私どものかかる考え方、対応についてご説明させて頂ければと存じます。宜しくお願いいたします。
簡単ではございますが、私からのご挨拶に代えさせていただきます。

ガイドライン改正案説明

(続けて、日本貿易保険より環境ガイドライン改正案に関するご意見とそれに対する考え方と対応、貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン(案)について説明。)
植田調査役 それでは、本改正案につきまして、皆様方のご意見、ご質問を賜りたいと存じますがいかがでしょうか。
(参加者A) いくつかあるのですが、全部今申し上げてよろしいでしょうか。それとも、どこからどこまでのコメントという感じでしょうか。ちょっと順番がバラバラになってしまうかもしれませんけれども、一番重要なところ、環境に関する情報公開のところです。これはJBICのガイドラインのときにも問題になりましたけれども、一体どれぐらいの期間、このアカウンタビリティ、透明性を確保するために公開する必要があるのか。最低限の期間をきちんと定める必要があるのではないかということを私ども、再三にわたって指摘させていただいているのですが、その期間に関してはNEXIはどのように考えていらっしゃるのかというところが1点目。
それと情報公開に関して、JBICは融資決定後にどのようなレビューを行ったのかということに関して、チェックリストも含めて公開されるというお話をお聞きしていますけれども、その点について、NEXIではどのように対応を考えていらっしゃるのかということです。
もう一つは施行期間ですけれども、これは非常にJBICの環境ガイドラインのときでも、最後のコンサルテーションで問題になったところですが、できる限り新しいガイドラインを4月1日から適用していくという考え方をJBICのほうで明らかにされたわけですけれども、そのあたりについてはNEXIは、どのように考えていらっしゃるのかということです。それが3点目。
それから、この国際的な基準をベンチマークとして参照されるということですが、具体的にベンチマークというものがどういうものになるのか。国際的にもはっきりしないということで、非常にNGOで問題にしているわけですけれども、具体的に国際的な基準が例えば世界銀行の非自発的移住に関するガイドラインが守られていないようなプロジェクトの場合、どのような対応をされるのか。具体的に、その国際的な基準に対する対応についてお伺いしたいと思います。
それと、プロジェクトに関して、このガイドラインの遵守に関して異義を申し立てる。受け付けて必要な措置をとるということで、これはJBICの記述とあわせていらっしゃるのだと思いますが、JBICでは具体的な異議申立の期間について、公開のプロセスできちんとした議論を進めていくということを約束されているわけですけれども、NEXIは必要な措置をとるというだけではどういうふうな対応をされるのかわからないものですから、少しご説明いただきたいと思います。
もう一つは見直しに関してですけれども、この見直しは5年以内に行うということをJBICのほうでは書かれているわけですけれども、必要があれば見直しを行うということは、これは全然5年間あるいは3年間のうちに見直しを全く行わないということもあり得るのか。きちんと期間を決めて見直しをすることを約束していただきたいと思っています。
あと、JBICのガイドラインのときに、最初この第2部のところ、別紙という形になっていて、扱いが非常に軽視されているのではないかということが問題になりまして、実は第2部という形で訂正されて出されたわけですけれども、この別紙という扱いについて、何か第2部という形ではなくて別紙にすることで意味があるのか、あるいは全くないのかご説明いただきたいと思います。
最後に、このNEXIのガイドラインですけれども、チェックリストに関して英文で提出することを認めるということでしたけれども、このガイドラインそのものの英訳は、作成の予定についてお聞きしたいと思います。以上です。
(坂口グループ長) ご質問ありがとうございます。順番に答えさせていただきたいと思います。情報公開と申しますか、スクリーニング後、意思決定までどれぐらいの期間を定めるのかということでございますが、これは私ども、いろいろな保険種がございますので、なかなか一律に決めるのは難しいのではないかと現時点では考えています。一方、その運用をしていく間に、目安というのもできればいいなと思っておりまして、これはJBICもいろいろ検討されているようでございますので、私どもとしてもこの点については引き続き検討したいと思っています。
2番目は、融資というか、私どもの場合は保険契約締結後だと思いますけれども、環境審査の結果について情報公開をするのかというご質問だと思いますが、私どもとしても、環境審査結果についてはできる限り公表させていただきたいと思っています。具体的にどこまでできるかというのは、これは昨年の12月に公表されました情報公開法の関係その他ございますので、具体的にどこまでやるかは、今後情報公開法への対応あるいはガイドラインの、後ほどご説明しますが、ガイドラインをできる限り早く施行していくこととの関係で検討していきたいと思っています。
3番目が施行期間でございます。私どもといたしましても、スクリーニングフォーム、チェックリスト、あるいはカテゴリー分類等につきましては、できるだけ早く施行していきたいと思っていますし、先ほど申し上げました情報公開の部分につきましては、混乱なく進めるためにも情報公開法とあわせてやっていきたいと考えておりまして、本文はJBICと同様に1年半後ということでございますが、できるものからできるだけ早く施行していくということは同じでございます。
4番目のベンチマークとして参照するという点でございますが、ここはOECDの議論でもベンチマークという形で国際的な基準を適用してレビューを行っていくということになっておりまして、まさにプロジェクトの個別のケースにおきまして、参照すべき国際基準というのがこれ一つとはなかなか決めにくいのではないかと考えています。しかしながら、国際的な基準を参照して、それが現地の基準と相当程度異なる場合には、理由その他を確認して、その環境配慮確認が十分なされているかどうかを私ども自身がレビューさせていただきます。また、その結果につきましては、先ほど申し上げましたように審査結果については情報公開させていただきたいと思っていますので、環境配慮が十分なされるように私どもとしても対応できるのではないかと思っています。もちろん、今後の私ども自身の運用と申しますか、私ども自身がいろいろな経験を積んでいく、あるいはそれをOECD等の場で他の国のECAと情報交換しながら国際的な基準がつくられていけば、私どもとしても審査がやりやすいということではあるとは思いますけれども、その点については今後取り組んでいくというか、今後そういった分野での進展を私どもとしても見ていく必要があるということだと考えています。
異議申立の件でございますが、私どもとしても私どもが保険を付保いたしました案件について、NEXI自身のガイドラインの遵守をしっかりやっているかどうかについて、ご意見があれば承って私ども自身の問題として検討いたしますし、必要な措置があればとってまいりますし、それがプロジェクト実施者がとられた措置の問題であれば、きちんと情報を提供させていただくといったようなことを今回書かせていただいたわけでございます。第三者の異議申立というご提案があり、かつ、JBICでは検討のための委員会、名称は正確かどうかわかりませんが、検討のための委員会を設立するということでございまして、私どもとして、ではどうするかというところはまさしく検討中でございまして、例えばJBICの検討会に私どもとしても何らかの形で参加させていただくとか、いろいろな対応があり得ると思っておりまして、それにつきましては検討中ということでございます。
6番目の見直しでございますが、私どもとしてはOECDの共通アプローチ、自主的に実施するということが昨年の11月に多くの加盟国で表明されたものでございますが、2003年末に見直すと書いてございますので、基本的にはその時期に見直すことになるのではないか考えています。ただ、その共通アプローチの位置づけが2003年末までに必ず見直すかというとそうでもないものですから、あるいは見直しの時期が前後する可能性もあるものですから、特に2年以内とか3年以内、あるいは5年以内という形で見直しの時期を書いてはおりませんが、必要があれば見直すということで、私どもとしてはきっちり対応させていただきたいと考えています。
7番目がJBICの第2部にあたるものでございますが、私どもの場合のガイドラインの旧来からの作りかたといたしまして、こうした条文に近い形式で書いているものですから、1部2部という構成はあまりなじまないのかなという感じを持っています。この形式が何か意味があるかというと全く意味はないと申し上げていいということでございまして、もちろん別紙と本文は一体のものというお答えをさせていただきたいと思います。
最後の英訳でございますが、私どものガイドラインの英訳は、今、ちょっと人手が足りずに遅れていて申しわけないのですが、英訳の作業をしているところでございまして、ちょっと時期は申し上げられませんが、私どもとしても英訳を作成して、しかるべく普及に努めたいと考えています。以上でございます。
(参加者B) 3点あるのですが、一つは意思決定についてですが、これまでもお話をいただいていますように、NEXIの場合は内諾と契約と二つ大きいステップがあるわけですが、ここで通常意思決定と、特に情報公開のところですがおっしゃっているのは、これは具体的にどちらを指すのかと。私はあまりNEXIの中のことを詳しくないので、内諾と契約の間にどのぐらい時間差があるのかわからないのですが、そのあたりもあわせて教えていただけたらと思っています。
2点目も、やや細野さんのほうの歯切れの悪かった経過措置のところですが、この文言はさらに詰めるということだそうですが、いずれにしても、やはり申請というのが何を指すのかというのは、おそらく私もよくわかりませんが、手続き上ある程度明確な文章が提出されるとか、何かあるのではないかと思っているのですが、今お答えできる範囲で結構なのですが、この申請を受けつけたというのは、通常NEXIの場合は何を表しているのか。一つ気になるのは、環境特約という制度がNEXIの場合はあるので、つまりある程度現地でEIAとかプロセスが終わっていない、あるいは許認可とかという意味でもクリアされていないものがあるのだけれども、どうもこの申請をして内諾を得ることができるというような仕組みになっているようですが、うがった見方で大変申しわけありません。もし認識が間違いであったらそのようにおっしゃっていただければいいのですが、環境特約という制度を使って、ある種あまり準備が進んでいないのに早めに申請を出すというようなことも制度上可能になってしまうのかなということを危惧しているのですが、そのあたりはどのようにお考えなのかというのが二つ目の申請に関わるポイントです。
三つ目はその経過期間なのですが、ぶっちゃけた話、この1年半というのはJBICとダブルスタンダードにならないように設定されたのか。私の認識では、やはり貿易保険のほうは非常に早いというような印象を持っていて、年次供与国のような円借款案件を抱えているJBICと貿易保険が同じスピードでいくとあまり思っていないのですが、ここの1年半の根拠は日本貿易保険のほうはどのようなのかというのを、もう少し明確な形で教えていただきたいというのが3点目です。以上、よろしくお願いいたします。
(坂口グループ長) お答えさせていただきます。意思決定というのは基本的には内諾を基準としておりまして、内諾時点を考えさせていただいています。内諾と保険契約までにどれぐらい期間があるのかというところですが、これはさまざまでございまして、翌日になることもあれば半年以上かかることもあるということでございまして、一概には言えないという状況にございます。実務の点から申しますと、内諾の申請をされるのは、基本的には輸出者の方が案件を落札というか取ってこられたあと、基本的に私どものほうに内諾申請ということに至ってくるわけですので、基本的には、2番目の問いとも関係していくるのですが、EIAプロセスというのはほぼ終わっている状況のときに私どもに貿易保険付保のご相談がございます。
2番目でございますが、経過措置のところは先ほどご説明しましたように、1年半後に全体として施行するということでございますが、前倒しする部分はできる限り前倒しをしたいと考えておりまして、その辺はうまく附則のところには書ききれていないのではないかということでございます。ただ、附則をうまく書ききるというリーガルというか法律上の書き方の問題はともかく、私どもとしては15年10月の施行前に、適用できるところはできる限り適用していきたいと考えています。
EIAプロセスが終わっていないものが内諾されるのではないかという点ですが、私どもご相談いただいているときには終わっているものでありますけれども、案件の事情によっては、追加的な環境許可の取得をするとか、そういうことがないわけでもないわけでございますので、そういった例外的なときには、許認可の取得を特約という形でさせていただいています。細かいことを申しますと、内諾のときはそうした条件を内諾条件と申し上げておりまして、保険契約締結時にそうした条件が満たさせていない場合に、さらに特約という形で付させていただいているというところでございます。
3番目の経過期間でございますが、前からもご意見を表明されていると思いますが、ただちに実施すべきだという意見と経過措置が必要だというご意見がございまして、その両方を踏まえながら、JBICと同一案件に融資を付保というのが多ございますので、歩調を合わせるというか調整も踏まえまして1年半という形にさせていただいているところでございます。以上でございます。
(参加者A)先ほどの説明の中で、情報公開の期間に関しても、あるいは意思決定後の情報公開に関しても、あるいは施行期間に関しても非常に検討事項が多くて、これはJBICでも問題になったわけですが、この検討案件について今後どのように進めるのかということに関して、今後こういったコンサルテーションの場、あるいは意見を求めるような場を検討されているのかどうかということが1点目と、JBICでも問題になったそういった細かい点に対して、今日ご説明いただいたような内容も含めまして、付帯的な文章を今、JBICでも作成されているわけですけれども、そういった文章の作成というのは今後考えていらっしゃるのかどうか、その2点について、もう一度確認したいと思います。
(坂口グループ長) 2点目のほうからお答えさせていただきます。JBICではFAQという形で運用事項もまとめて、ユーザーの皆様、あるいは環境に関心をお持ちの皆様にお示しすると伺っています。私どもとしては保険契約という枠組みでやっているものですから、そうしたものは運用規程という形で約款の解釈は示させていただいていますが、環境ガイドラインについてどのような形で皆様にわかりやすい運用を示せるかというのは検討させていただきたいと思います。従前から申し上げていますように、JBICとの間で運用上も齟齬が生じることになりますと、ユーザーの皆様にとってもそれは適当ではないということだと思いますので、私どもとして何ができるかは考えているところでございます。
それと、今後どういうふうに進めるかということでございますが、私どもとしてはガイドラインを作成させていただいて、いろいろ運用させていただいたり、あるいは国際的な他国のECAの運用についてOECDの場などでいろいろ経験を聞かせていただいて検討していきたいと思っておりまして、先ほどの運用をどうするのかというものとともに検討していきたいと思っていますが、とりあえず意見交換会という場は、このガイドライン改正のための意見交換会という場は、今回で最後にさせていただきたいと思っています。以上でございます。
(参加者 A)何度も申しわけないのですが、あまりにもお答えの中で曖昧なものが多すぎて、これでは私たちもこのガイドラインがどういうふうに施行されるのか非常にわからないというところもございますし、まさに業者の方も、あまりにもこういう曖昧なものでは、どういう準備をされたらいいのかということ自体がわからないというふうになるのではないかと思いますので、さらにもう少し細かい具体的な運用について、引き続きパブリックなコンサルテーションをされることを強く要望するところであります。
また、もう一つOECDの場などで意見交換をされていくということですが、NEXIのほうでも積極的に議論に参加されていくということですけれども、どういうふうな形で積極的な参加をされるのかお聞きしたいと思います。
(坂口グループ長) これまでもOECDの会議におきましては、私ども自身もも会議に参加させていただいて、基本的にはOECDのECGという会合は政府が代表でございますので、私どもとしてはそれをサポートさせていただいています。具体的にどうかといいますと、私どもの日々の業務あるいは案件を審査するといったような実態を踏まえまして、ガイドラインの中身が環境に配慮した十分なものになるということと、そうした共通アプローチ自身が、私ども実施機関としてうまく実務上実行できるかどうかといったような点について、政府に私どもから情報提供をさせていただいているところでございます。
それに加えまして、OECDの場におきましては、他の国からも政府の方だけではなくてECAの方々が参加されていますので、議場外等でそうした方と意見交換をしたり、実務上の問題点について議論したりすることで相互理解を図って、より実務的にもうまく対応できるような共通アプローチにしていくということで、積極的に参加させていただきたいということでございます。
1点目の今後でございますが、私どもも新しいものについて運用を始めるわけでございますので、運用していない段階ですべて決めるというのはなかなか難しいと考えておりまして、今回配布しましたご意見とそれに対する考え方もホームページ上で公開させていただく、あるいは今日の意見交換会の模様などもホームページ上で公開させていただくことによって、ユーザーの皆様、広く国民の皆様に透明性をもってできるのではないかと思います。さらに運用についてわかりやすくする方法については、検討させていただきたいと思っています。以上でございます。
(参加者A)  改めてですけれども、私も非常に強く思っているのは、今日が最後だという姿勢で臨まれていますので、我々も今日言うべきことは最後言わなければいけないというところですが、さりとて先ほどおっしゃられたように、経過措置の書き方についても変えるというふうにおっしゃっているわけです。これで十分ではないと。しかも、今日完全に全部見え消し版を直して出されたわけではないということですので、やはりそういう意味では、4月1日に一応制定をされたいのでしょうけれども、少なくともその後のプロセスは、せっかくここまで来たのですから、もう少し今までのような透明性をしっかりと遵守しながらやっていただきたい。
特にいくつかのポイントがありまして、一つは今、隣の参加者の方も言いましたけれども、国際機関のgood practiceをベンチマークとするというのは、ややもすると異議申立の中でどうやって扱われるのか非常に難しいと思います。国際機関のさまざまなgood practiceなんていうのは山ほどあるわけでして、そういう意味からいくと、それを明記しないでこのように書いて、たくさんのgood practiceの例を挙げることはできるわけですね。ですから、そのあたりNEXIとしてしっかりとした基準を提示しないまま走ることというのは本当にふさわしいのかどうか、私にはよくわからないんですね。これはJBICでも議論しましたけれども、一応good practice集というのをつくりながら、かつその中に適宜加えていくようなやり方をしているというのは現実的なのではないかと思います。ですから、スタート時点で今NEXIがイメージしているgood practiceというのはこうこうこういうものであって、必要に応じてそれは追加していきますというようなやり方をしたほうが、私は現実的にはアプリカブルなのではないかと思っています。そのあたりをご検討いただければと思います。
あと、モニタリングについても最後別添の3に入っていますけれども、やや私自身は、一応項目だけはここに書いていますが、どうやってモニタリングをするのだろうという疑問は持っています。体制的にも、これまで何度かこういった意見交換以外の場でもNEXIのことをお伺いしていて、はたしてこのモニタリングというのは実際上どこまでやっていけるのだろうと。もちろん事業者とかがかなりやって、それをチェックするという役割なのかもしれませんが、そのあたりについても、具体的にモニタリングをどういうふうにやっていくかというのは、やはり付属文書なりの形でまとめておかれたほうがいいと思います。
ですから、そういう一つ一つ環境社会配慮を今までより厚いとはいえ、この10数ページの中で書き込むことというのは、現実的にはこれは最低限のものが入ると。もう少し具体的にどういうふうにやっていかなければいけないかというものは、付属のような文書をつくられて具体的に提示した上で、モニタリングはこういうふうにやってきます。あるいは情報公開についても、情報公開法との関連でたぶん今年中には何らかの具体的に手続きを決められると思いますけれども、やはりそういう個別のものについてはしっかり定められて、それをまた公に付して、今回のような形でさまざまな議論を受け入れるという形を今後も進めていただきたいと思っています。
特に一番私が気にしていますのは、そうしたモニタリング、あるいは社会配慮の部分、それからベンチマークとして使う国際基準、あるいは情報公開のタイミング、こういったものについては、やはりできるだけ早く方針を決めていただきたい。また、経過措置についても、できるものからやっていくというのは出された意見の横長のほうにもあったように、最も我々としてもわかりにくいこと。非常に方針としては私は評価するのですが、しかしながら、やはりどういうものをやっていくかというところは文章に書いてもらわないと、我々も見えない。しかも、それをめどというのですか、例えば今年の10月であるとか来年の3月であるとか4月であるとか、ある程度のめどもお示しいただかないと、一体いつごろからそういうのを始めていくのだろうかということがわからない。特に遵守との関わりでいくと、やはりその辺は非常に重要なことになっていくのではないかと思います。
最後に、私はJBICのときにもこれは言わせていただきましたけれども、やはり今回のガイドラインの最大の特徴は、こういった環境社会上の問題のないものにしていこうという、そのためには地域の人たち、あるいはさまざまな声に耳に傾けて、問題を未然に防ぎましょうという姿勢だと思います。それが情報公開という言葉であったり、さまざまな言葉に置きかえられると思います。ですからそういう意味からいくと、すでに現地でいろいろと問題が起きているあれとか、あるいは住民の中に非常に強い反対があるとか、そういう中でこの経過期間中だからといって古いガイドラインをもし使う、それだけしか見ないというようなことになれば、国際的にNEXIは新しい非常に進んだガイドラインにしようとしているというのが、この4月から声として出たあとでもしそういうようなことがあれば、いやいや、今経過期間中なんだと言い訳をすることになると思うのですが、しかし、やはりそういうことはせっかくこのプロセスに一緒に参加をさせてもらった者としてはそれはないほうがいいと思いますので、私としてはその経過期間中でも、やはり現地で非常にプロジェクトに対して環境社会上強い疑念の声、あるいは強い住民側なり地方自治体なりの反対の声があるようなものについては、より一層この新しいガイドラインの主旨を生かしていく必要があると思っています。
そのあたり、外に対してわかりやすく、どういうふうにNEXIが説明責任を持ってそこを書かれるのかというのは最終的にはNEXIの判断ですが、私としては形だけのスクーニングフォームを採用しますとかチェックリストを採用します、それを公開をしますというものだけではなくて、そういったここの新しいガイドラインに踏まえられている理念部分についても、何らかの形で皆さんがわかるような形で表現をしていただいて、ぜひ経過期間中であっても重視してほしいと思っている点であります。その点は非常に強くお願いしたいと思います。これは質問ではありませんので、意見として聞いていただければと思います。
(坂口グループ長) 経過期間について若干答えさせていただきますと、私どもとしてもスクリーニングフォーム、チェックリスト等につきましては、10月1日以前に何とか施行したいと考えています。これはJBICもご説明されたと思いますが、私どもとしても歩調をあわせて、できる限りやっていきたいと思っています。情報公開のほうは、これは申しわけございませんが政府全体としてまだ施行時期が決まっていないものですから、施行にあわせて私どもとしてはやらせていただきたいと思います。
それとあと、good practice、モニタリングでございますが、私どもも案件の審査の中で環境レビューをさせていただくわけでございますので、基準というものは私どもなりにないとなかなかきっちりレビューできないということでございますので、ご意見も参考にさせていただきながら、私どもの中としてどういう基準とかプラクティスをうまく集約させていただいていけばいいのかということは、私ども自身の問題として検討していかなければいけないと思っています。
それとモニタリングにつきましても、これも私ども自身の問題でありまして、私どもの場合は保険契約という形でお客様を通じた形でしか事業実施者との関係で、法律的にでございますが、情報提供等を受けることにはなっていないものですから、ここはどこまで何ができるかというのは、法律的にはある程度制約があるというのはこれまでの説明会でもご説明したとおりでございます。そうした制約の中で私どもとして何ができるかということを考えていかなければいけないわけですが、そうした同じ法的立場にある他国のECAの経験なども聞きながら、私どもとしてできることをできる限り努力していきたいと考えておりまして、今の段階で将来起こることを予想してあらゆるものをうまく整理してご提示できれば一番いいのですが、私ども残念ながら少ない人数でこの業務をやっておりまして、今の段階ではなかなかご要望のものをお示しして意見を聞かせていただくというような段階ではございませんので、今後いろいろ勉強してみて、関係機関からもいろいろ情報交換をしたり教えていただきながら取り組んでいきたいと思っています。以上でございます。
(参加者C) いつもお世話になっています。1点非常に細かい点なのですが、環境審査フィー制度についてお話させていただければと思います。私どもユーザーの立場からしますと、JBICの対応同様ユーザーに負担のかからない形で環境審査というのを行っていただければと思うのですが、今回のご回答としては、引き続き現行の制度を維持されていくということですが、その場合でもどちらの外部コンサルを使うかとか、どういった形で費用になるのかとか、そのあたりにつきましてはぜひユーザーにご開示いただくなり、できればどこを使うについても我々のほうから意見が言えるような形の運用をしていただければと思っています。この点について、ご意見を伺えればと思います。
(坂口グループ長) これまでもご説明していますけれども、例えばプロジェクトファイナンスでレンダー共通という形でコンサルタントを委託して、そこでいろいろ調査をするというようなことがありましたら、私どももそうしたコンサルタントに委託することにより、特別の費用の負担が生じることなくやらせていただいているところでございます。そうした場合ではないときに、これもこれまでご説明させていただいていますように、センシティブサイトにつきましては、私ども熱帯雨林の専門家だとか珊瑚礁の専門家を雇用するわけにもまいりませんので、それだけの余裕もございませんので、基本的には外部のコンサルタントにアドバイスを求めるというか、委託をさせていただいているところでございます。その委託の方法について、レンダーとどこまで協調してやらせていただくかということでございますが、これは先ほど申しましたように案件に応じてさまざまなケースがあろうかと思いますし、いろいろ個別にもご要望を伺っていますので、それにつきましてはできる限りご要望にお応えしたいと考えています。
ただ、フィーにつきましては、私どもいろいろな保険種がございまして、その一部について、あるいはその保険種の中でもこの費用負担が生じるのは一部の案件でございますので、基本的には生じた費用については個別にお客様の方でという整理とさせていただいています。以上でございます。
(参加者A) 2点あるのですが、1点は先ほどの方がおっしゃったことがよくのみこめなかったかもしれませんが、金融機関の方が常におつきあいのあるような方にできればコンサルタントをお願いするというふうな、そういうふうなことなのでしょうか。この環境配慮に関しては、社会環境配慮がきちんと中立した立場で審査が行われないと、こういった新しい制度をつくられても全く意味がないと思っておりまして、そのあたりのことを、なるべくご要望に応じたいとご回答があったのですが、どういうことなのかもう一度ご説明いただきたいと思います。
それと2点目は、実は私もいろいろ申し上げていますけれども、しかしこのような形でコンサルテーションがきちんと開かれたプロセスの中で、このガイドラインをつくり上げようとされているこのご努力は買いたいと思いますし、ダブルスタンダードをなくそうという意味で、この別紙について新たに追加されているといったような動きも非常に評価したいと思っています。それで、まさに先ほどOECDの中でどういうふうな働きかけを今後される予定ですかとお伺いをしたのですが、今日もしあれでしたら経済産業省の方もいらっしゃっていると思いますので、もし少しご意見をお聞きできればと思います。
(坂口グループ長) 先ほどのレンダーの方からのご質問ですけれども、お客様の中にもいろいろな立場があられるわけでございまして、どちらかというと事業実施者に近い形で機器等を輸出される方もあれば、レンダーのようにどちらかというと私ども保険者と同じ立場で、環境のレビューというかリスクをきちんとレンダー自身として把握したいという場合がございます。すなわち利益相反という観点からいうと、環境に十分配慮したプロジェクトでないとレンダーはご融資できない、我々も保険をつけられないということで同じ方向でございますので、先ほどおっしゃられたような自分が親しいコンサルタントに誘導したいということではなくて、レンダーというか金融機関の方々におかれても、私どもの環境レビューの中身というか結果を共有したい、あるいは一緒に環境レビューというか、環境配慮で問題がないかというのを確認したいというお立場でございまして、そういった場合には共通のコンサルタントを用いるであるとか、私どもが委託した中身について情報を共有していくということは非常に重要なことだと考えています。
2点目は、この場でそういった議論をさせていただくことがいいかどうかということもあろうかと思いますので、今日の議論は経済産業省ほか関係省にもお伝えさせていただきますし、もちろん今日の議事録は私ども非常に努力をしていまして、早め早めにウェブサイトに出ていると思いますが、ウェブサイトでも公開させていただき、関係方面の方々とよく意見交換をさせていただきながら対応させていただきたいと思っています。

(佐藤審査部長) 3回にわたって開催してまいりました説明・意見交換会でございますが、今回をもちまして最後とさせていただきます。この間、多くの方にご参加いただきまして、貴重なご意見あるいは有益な意見交換をさせていただきましてまことにありがとうございました。本日はどうもありがとうございました。(了)

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