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環境への取組

2002年環境ガイドライン制定までの経緯

第2回「貿易保険における環境配慮のためのガイドライン」
一部改正に関する説明・意見交換会の概要

2月21日(木)14時~15時半、お茶の水スクエアC館において標記会合を開催いたしました。前回とあわせて約140名のご参加を得て、たくさんのご意見、ご質問を頂きました。以下は、当日の様子について、質疑応答を中心に取りまとめたものです。(ホームページ上での公開にあたり、各参加者の方にはご自分の発言内容の書きぶりについてご確認を頂いておりませんので、文責は日本貿易保険にありますことをご了承願います。)

日本貿易保険の出席者: 佐藤審査部長
坂口環境グループ長
植田調査役(審査グループ)
細野調査役(環境グループ)

ご挨拶

(佐藤審査部長)  
審査部長の佐藤でございます。
本日は、環境ガイドライン改正に関する説明・意見交換会にご参加いただきまして有り難うございます。現在、日本貿易保険は、OECD加盟国の公的輸出信用機関がプロジェクトの環境配慮の確認をいたします際に共通に守るべきルールなどを定めました環境共通アプローチに適合するように現在、私どもは現行ガイドラインの改正作業に鋭意、準備をしているところでございます。この改正もできれば4月の改正を目標に今、改正の準備をしてございます。1月30日には、その改正案を皆様にご説明をさせて頂き、さらにその皆様からのご意見等を頂戴する場としまして、第1回の説明・意見交換会を開催させていただいたところでございます。その第1回の説明・意見交換会の場でも多数、皆様のご出席を頂きまして多数のご意見、ご質問等を頂きました。今回は、その2回目の説明・意見交換会の場でございます。前回同様、有益な意見交換の場とさせていただければと思っていますので是非、ご協力方、宜しくお願い申し上げます。
今回の会の進め方でございます。はじめに、ガイドライン改正案の環境配慮確認の手続きのフローをご説明させていただきたいと思います。次に、これまで説明・意見交換会で頂戴いたしましたご意見、パブリックコメントとしてお寄せ頂きましたご意見の中から主なものを紹介させていただければと思ってございます。さらに先ほど申し上げましたOECDの環境共通アプローチにつきまして外務省はじめ関係省庁の方々のご尽力におきまして、日本語の暫定訳が出来てございます。皆様のご参考になればと考えていますので、これを簡単に概要を説明させて頂ければと思ってございます。それと1月30日に説明会、今お手元にお配りしてございます環境配慮ガイドライン改正案を私どものホームページでも公開させていただいておりまして皆様からいろいろご意見を頂戴してございます。期日は、2月28日まででございますが、引き続き、コメントを頂戴できればと思っています。簡単ではございますが、私からのご挨拶にさせていただきたいと思います。宜しくお願いいたします。

ガイドライン改正後の手続きフロー等説明

(続けて、日本貿易保険よりガイドライン改正後の手続きフロー、パブリックコメント紹介、OECD共通アプローチについて説明。)

(植田調査役) 
ご意見、ご質問等、いかがでしょうか。

(参加者A) 
前回も出席しましたが、前回はその当日にこの改正案が配られたものですから、それを理解するということだったのですが、今回は少し時間がありましたので、じっくり、いろいろと勉強させてもらいました。
いくつか質問と意見があります。すでにパブリックコメント等の意見の紹介が先ほどありましたので重複するものは、あまり長々と話さず簡単にしたいと思います。質問からいきますと、輸出者等というのがたくさん書いてあります。この「等」ですが、具体的に説明をしていただきたいのですが、どういうところがあるのかということをお願いいたします。というのは、やはり鍵になるのは、プロジェクト実施者がどのくらい協力をしてくれるのかというところが、これは努力をするというのは書いてありますが、必ずしも確保されているとは思えないわけです。
したがって、例えばここで言うのが適切かどうかわかりませんが、経済産業省あたりがやはり再保険をしている立場ですし、その責任上、例えばプロジェクト実施者が相手国政府機関であったりするような場合は、やはりもう少し力を出さないとプロジェクト実施者が本当にその輸出者に対して「はい、はい、これが環境に関する情報です」というふうに正直に出すかどうか、極めて疑問なわけです。したがって、この輸出者等という「等」ですが、どういうことを具体的に指しているのか、あるいは経済産業省の役割について、これは越権かもしれませんが、もし内部で議論があるのならば教えていただきたいと思います。
二つ目ですが、これも若干パブリックコメントにありましたけれども、JBICは確かにODA部門もありますけれども、旧輸銀部門があるという中で、現在新しいガイドラインを作っているわけです。そういう意味からいくと、JBICのガイドラインをNEXIが適用しても何ら問題がない。つまり、それはODAを含んでいるからふさわしくないという議論にはならないと思うのです。どうしてJBICの方のガイドラインの趣旨を、ほとんど生かすような形になっていない、あるいは、この二つが私から見ると情報公開とかさまざまな点で乖離があると思うわけですけれども、乖離したままで本当にいいとお考えになっているのかどうかです。うがった見方をすれば、やすきに流れる可能性があるのではないかという危惧をしています。NEXIの考え方として単にダブルスタンダードにならないようにします、JBICとは話をしますというだけではなくて、実際、ガイドラインベースで、もう見ただけで乖離がわかるわけですから、具体的にどうされるのか伺いたいと思います。
三つ目は、これはバブリックコメントに出ていますが、しかし極めて重要なので言わせていただければ、EIAの提出を可能な限りというのは、これは私は承伏できない、絶対に譲れない線のひとつだと思っています。ただ、質問という形にさせていただけば、では不可能という場合とは一体どういう場合なのか、ということを教えていただきたいと思います。
それから、次が6ページ目の上の方に、こういう場合は措置を求める場合があるというようなくだりがあります。つまり、環境に重大な影響を与える事態が生じた場合には、これこれこうしたうえで緩和する措置を求める場合がある、とあります。重大な影響が及ぼされているのに措置を求めない場合もあるのか、と読めてしまうのですが、どうして「求める場合がある」というような書き方になっているのか。求めない場合というのは一体何なのか、ご説明をしていただきたいと思います。
それから、最後のこの附則のところに、この改正がいつから適用になるのかということが書かれています。数字が入っていませんが、ひとつは、ここに申請の受け付け、申請を受けているプロジェクトについては改正前のガイドラインを適用するとありますが、この「申請を受け付ける」というのは具体的に何を指しているのか伺いたいと思っています。というのは、例えばNEXIにお話を伺うと、具体例を出して恐縮ですが、タイ南部の石炭火力発電所について、まだNEXIとしては具体的な審査をされていないと言いつつも、タイのNGOが入手しましたタイ政府の資料にはNEXIという名前が入っています。これは申請を受け付けているのか、受け付けていないのか、われわれにはわからない。したがって、こういう誤解を避けるためにも、NEXIとしてその申請を受け付けたというのは何を持って受け付けたのか、それは何かもう、はっきりとした動かし難い何かがあるのかどうか、教えていただきたいと思います。
それにもかかわるのですけれども、施行までに期間を置くという話が前回のこの意見交換会でも出ました。期間を置く理由ですね、これ、JBICの話をすると大体、ODA側の人が出てきて相手国政府の法制度の問題とか、それから年次供与という制度をとっていますので、彼らの長いプロセスの中からいくと、すでに政府間で動いているプロジェクトがあって、なかなかそこはすぐにはいかないというのがJBICの説明であったわけです。しかしながら、JBICでも旧輸銀側は明確な説明をしていないのです。NEXIの場合、ODA部門があるわけではないですから、一体この施行期間を、施行までの期間を置くというのはどういう意味なのか。何をその期間に準備しなければいけないのか。もっと言えば、何が準備できていないから施行期間があとになるのか。この辺を教えていただきたいと思います。
それから、やり方ですけれども、バブリックコメントがいろいろ出ているという、いま細野さんからのお話もありましたし、2回ほどこういう意見交換会も開いています。ここに出た意見をいまのように紹介していただくというのは非常に透明性という意味でも、非常にありがたいことだと思います。しかし、それをNEXIとしてはどういう理由で、最終案にインコーポレイトするのか、あるいはどういう理由で、これはもうやめたということを、やはり最終的には公表する必要性がある、公表するべきではないか、と思います。可能であればパブリックコメントが終わったあとで、説明会を開いて、最終的にこういう意見が出ましたけれども、これについては私どもとしては今後の課題にしますとか、あるいは、この辺は理不尽だと思いますので私たちは無視しますとか、そういうような機会があってもしかるべきではないかと思うのですが、今後、計画があるのかどうか、ぜひお願いしたいと思います。
最後に、これは意見ですけれども、まず共通アプローチREV6を今日配っていらっしゃって、外務省のホームページでも公開されました。しかしながら、このREV6に対しては各国、その市民団体あるいはNGOが、これは不十分ではないかという声があることは少なくとも理解をしておくべきはないかと思います。確かに横並びでやるということの必要性、その競争上の問題というのは理解しますけれども、他方、ヨーロッパの小さな保険機関と、付保している引受額の大きいNEXIが、同じように何か守りの姿勢に入るということは、それもどうかと思います。これは意見ですけれども、私としてはパブリックコメントにもあったかもしれませんが、やはりもう少し、これだけ大きい保険機関としては流れを前向きに持っていくという方向を打ち出して欲しい、と思います。
それから、これが意見としての最後ですけれども、繰り返し言いますが、もっとも私が一番気にしているところは、やはり事業者が事前に何をしておかなければいけないのかというところを、もっとちゃんと書いておいて欲しいわけです。これは、もうNEXIがかかわるときにはEIAもあって、かなりプロジェクトが進んだ段階ですから、あらかじめNEXIがその事業者、NEXIに保険を申請する人たちは、こうこう、こうこう、こういうものはちゃんと準備をして、こういうものは終わらせておかないと、私たちは受け付けられませんというものを、やはりちゃんと明示しておくということは必要ですし、その中には必ず、やはり現地での公開ですね、情報公開、特に環境影響評価報告書については公開されていること、それから現地の住民とは、十分な情報提供に基づく協議が行われていること、というようなことが必ず入るべきだろうと思っています。こうした意見については、改めてパブリックコメントとして出したいと思います。今日は、せっかく面と向かってお話しする機会ですので、最初の質問の方を中心にお答えいただけるとありがたいと思います。以上です。

(坂口グループ長) 
お答えさせていただきます。最初の「輸出者等」とは何かというところでございますが、これはガイドラインの中にもあると思いますが、対象保険種は貿易一般保険、海外投資保険、海外事業資金貸付保険の3種類ございまして、貿易一般保険の中でも、いわゆるサプライヤーズクレジットとバイヤーズクレジットという形で、いくつかの保険種がございます。この場合に、内諾のご相談に来られる方は輸出者が多いわけでございますが、被保険者としてはもちろん銀行など、貸し付けをされる方という場合もございますし、投資保険であれば投資をされる方ということで、この「等」というのは基本的には保険の申し込みをされる方、というご理解でいいのではないかと思います。
ただし、私どもだけではないのですけれども、これは世界の輸出保険機関全てがそうだと思いますが、私ども及び世界の輸出保険機関の置かれている立場というのは、事業実施者との関係では多くの場合は間接的な関係にあり、そうした中で、環境問題に取り組んで行くにはどうしたらいいのかというのは、先ほどもご紹介させていただきましたOECDの場で、いろいろ議論して取り組んでいくということになっています。
もう一点つけ加えさせていただきますと、私どもとして輸出者等、お客様からいただく情報だけで判断するわけではございませんでして、まず第一段階の情報公開をさせていただいたあと、関係者から情報をご提供していただくことも歓迎していますし、あるいは、そのほかの輸出信用機関、あるいは政府、いろいろなところから情報を提供していただき、それらに基づいて私どもとして環境レビューを行っていくということでございまして、それはガイドラインに明記されていると考えています。
2番目が、JBICのガイドラインとの関係でございます。JBICはJBICとして、統合ガイドラインという形で従来から作業を進められていますし、私どもは私どもとしてOECDの議論を踏まえた改正というのを進めさせていただいておりまして、それぞれ、まだパブリックコメントをいただいている期間でございます。具体的にどう調整するのかという議論でございますが、まだ私ども、いまパブリックコメントをいただいておるところですので、その結果を受けて、どういった改正がよいか、もちろんダブルスタンダードにならないようにということを確保しつつ、ダブルスタンダードになるということはお客様にとっても事務手続きその他でご迷惑をおかけすることになりますし、対外的に見ても、それは決して望ましいことではないということは理解していますので、いずれにいたしましてもパブリックコメントが終わりまして、それぞれ意見をいただきましたあと、私どもとして現段階でできる最も望ましいガイドラインに改正したいと考えています。
3番目のEIAレポートの件でございますが、この可能な限りという点につきましては前回もご質問がございまして、私どもとしてもちょっと整理のし直しを考えたいと思っています。私どもの基本的な整理といたしましては、現行ガイドラインでも、いわゆるAカテゴリーにつきましてはEIAレポートを提出をいただいておりまして、その整理というのは引き続き今回のガイドラインでも続けたいと考えています。
質問の「不可能な場合」ということでございますが、不可能か可能かという趣旨ではなくて、私どもとしてはEIAレポートももちろん重要ではございますが、私どもが環境配慮確認、あるいは環境レビューを行うにあたりまして必要な情報はお客様、あるいはその他の関係者からいただいて、きちっと判断していくということが一番重要なのではないかと思っています。いずれにしても、この点につきましてはご意見をいただいて、その検討をしたいと思っています。
4番目の「重要な影響がある場合、措置を求める場合がある」、この「場合」がない場合があるのかどうかということでございますが、求める場合がない場合として、いま考えられますのは、そもそも重大な影響があって私どもとして保険の内諾をするということは、なかなか困難だと直ちにわかる場合においては、それは措置を求めるまでもなく、おそらく、私どもは謝絶と申し上げていますが、お断りさせていただくというような場合もあるのではないかと思います。
5番目の経過措置と申しますか、適用期間等の関係でその申請の受け付けと、いまのガイドライン案では書かせていただいています。ここにつきましては、私どももどのようなタイミングで、どのように適用したらいいのかということについては検討をいたしておりまして、実質的にJBICとも同じ案件となりますバイヤーズクレジットの案件がございますので、ユーザーの皆様方、あるいはほかの方々の意見も踏まえて検討していきたいと思っておりまして、この「申請を受け付けた段階」という文言自体の適正さも含めて、検討させていただきたいと思っています。6番目の施行までの期間でございます。これは前回も若干ご説明させていただいたかと思うのですけれども、いわゆるEIAレポートが既に作られてしまっているような案件、事業実施者の方がさかのぼって、こういうのでやりますと言っても直ちに適用できないような場合、これが1番目だと思っています。
2番目は情報公開の関係でございまして、その前回もご説明させていただきましたけれども、いわゆる独立行政法人等情報公開法が昨年の12月5日に公布されまして、1年以内に施行すると伺っています。施行時期がいつかは具体的なところはまだ伺ってはおりませんが、しばらく時間がかかるようでございまして、私どもとしては、情報公開は情報公開法と同じタイミングで行った方がうまくできるのではないかと考えておりまして、その点が経過措置の2番目だと考えています。
3番目は先ほどご説明いたしました、実際に具体的な案件について、いつから適用するのかというところでございまして、これにつきましては実態と申しますか取り引きの実情について、いろいろユーザーの皆様からご意見を伺って、私どもとしては決めさせていただきたいと考えています。
7番目でございますが、パブリックコメントをいろいろいただいておりまして、もちろん、そのいただきましたパブリックコメントにつきましては、取りまとめさせていただいて、パブリックコメントに対する私どもとしての考え方、整理というか、そういったものをきちっとまとめさせていただいて、何らかの形で発表させていただきたいと考えています。ただ、具体的な方法につきましては、まだ意見を求めているところでございまして、どのようにして整理したらいいかというところは、まだわからないものですから、こういうやり方でやりたいということは決めてはおりません。ただ、いろいろなところでパブリックコメントをやられているのを拝見いたしていますと最後にまとめたうえで、それに対する考え方を付してホームページで公表するのが一般的かなと見ておりまして、方法については考えたいと思っています。
あとはご意見とのことなのですけれども一点だけ補足いたしますと、これも前回ご説明しましたが、EIAにつきましては現地での公開であるとか、住民との協議であるとかにつきましては、ガイドラインの中で私どもとして確認すると書いてありますので、ユーザーの皆様方におかれては、確認されるという前提で事業というか、商売のプロセスを行われることになるのではないか、と理解をしています。以上でございます。

(植田調査役) 
それでは、ご質問等々いかがでしょうか。

(参加者B)
パブリックコメントも出させていただいたのですけれども、いまのご回答をちょっと聞いたのですが、やはりもう少しわからないので教えていただきたいと思います。ひとつはご回答の中でもJBICのガイドラインと変わらないレベルで確認していきますということであったのですけれども、ひとつわからないのは、その一番最初にご説明いただいたように、こちらの保険を申請される方というのは基本的に間接的な関係にあるということでお考えになっていらっしゃるということなのですが、まさにJBICのガイドラインの議論で問題になったのは、この間接的な人が申請をする場合に、どうやってそれを確認するのかというようなことを、確保していくのかということが問題になったわけです。
こちらのガイドラインの方ですが、コメントもさせていただきましたけれども、基本的に事業者にどういう、どこまでのレベルを求めているのかが実はさっぱりわからないがために、それをどうやって確認されるのか、あるいは確認したあと、どう確保するのかということに関して、具体的な手段というものがわからないわけです。例えば現地の方で、例えば事業を行う場合に向こうの方の環境担当の省庁が、例えばその条件を付けますね。実際やっていくうえで、まだここが不足ですから、やるときにはこういう環境対策をとってください、みたいな条件が付くことがよくあるわけです。
こうしたものが例えばEIAの中にも書いてあると思いますけれども、そこに一体どういうふうにそこをNEXIとして、実際に行われているのかを確認されるのか、あるいは、もし確認するのが非常に難しいということであれば事業者の方に、例えば申請者の方にですね、申請される段階で、ここを確認してくださいというふうに何らかの条件というか、そういう保障なりを求めるというような措置を考えていらっしゃるのか、その辺が全くわからないわけです。
ですから、確認される方法というのを、ひとつ教えていただきたいということと、やはり先ほど回答を伺っていましても、やはり一番最初にどういうレベルの環境水準を求めているのかが、やはりこれでわからないということですから確認されると言った場合に何を基準に確認されるのかということが、特にこの国際基準のベンチマークということなっていますから、ベンチマークですとどの基準を使うかということも、それはただ参照するだけということになってしまいますので、非常にその辺りを懸念しています。
ですから、コメントにも書かせていただきましたけれども、やはり、JBICのガイドラインの研究会の議論の流れの中身をぜひ踏まえていただいて、やはりそうすれば、ぜひJBICのガイドラインの2部にあたる環境基準というところをきちんと中に入れていただく必要があるのではないかなと思っています。いまのは意見ですけれども、特にその最初の確認する方法、それから例えばその条件なり、現地で実際にそれが行われたかどうかを確認して、あるいは実行を確保していく手段というものに関して教えていただきたいと思います。

(坂口グループ長) 
具体的なプロジェクトごとに異なるかもしれませんので架空の例としてお答えさせていただきますが、例えば現地の許認可がまだ取れていないというような場合、あるいは条件が付いているというような場合につきましては、私ども、内諾をいたしますときの条件、あるいは保険契約をいたしますときの特約というものでその条件を満たすように求めるとともに、情報提供を事業者の方に依頼いたします。実際に情報提供を依頼したときに、事業者の方が現地まで行って見て来られるのか、あるいは、どうされるのかというところまではいろいろでございましょうが、いずれにせよ私どもとしてはきっちりと、現地の方で条件が付いたりしている場合については、それを事業者の方に条件付けて情報をいただいてフォローするということを、いまもやっていますし、これからもやっていくということになると考えています。
もちろん、私ども環境レビューの中で必要がありましたら、これも前回ご説明いたしましたが、現地の状況を調査する必要などがありましたら外部のコンサルタントに委託して調査するなり、私ども自身で職員を派遣して現地の状況を調査したりするということも現在もやっていますし、やっていくことになると考えています。
ただ、モニタリングという、広く申し上げますとご質問はモニタリングということでございますが、OECDの議論の中でも、特に保険機関においてはスポンサーと申しますか事業実施者とは間接的な関係になるので、きちっとその条件なりを実施していただくために、どういうふうにやっていったらいいのかということにつきましては、各ECAとも試行錯誤の状況でございます。したがいまして、共通アプローチでは、先ほどご紹介させていただきましたが、モニタリングをきちっとしますというふうに、確か17パラグラフだと思いますが書いてあって、それぞれの輸出保険機関、ECAが経験を持ち寄って、よりよいモニタリング方法について引き続き議論をしていく、という整理になっているところでございます。私どもも、そうした議論に参加していきたいと考えています。
2番目でございますが、どうした基準を用いるかわからないというご質問だと思いますが、私どもは、OECDのガイドラインにも書いてございますし、私どものガイドラインの改正案にもございますように現地基準、これは守らなければいけないものとしてきちんと確認いたしますし、国際的な基準、代表的なものは世銀の基準だと思いますが、それをきちっとベンチマークとして参照させていただきます。
ガイドラインの改正案の中にも書いてございますが、乖離があるときにはその理由は何かというのを確認させていただいて、環境配慮がきちっとなされているかどうかということを、私ども責任をもって見ていくということでございます。それで、どの基準かというのは、それぞれそのセクターごとであるとか、プロジェクトごとに異なりますものですから具体的なこの基準という統一したものが、まだOECDのECAで合意されているわけではございませんので、先ほどモニタリングのところで申し上げましたが、各国が経験を積んで、それを情報交換をしていくことによって将来統一的な基準ができるかどうかわかりませんが、そうした議論に私どもとしても積極的に参加していくということだと考えています。
ご意見ということではあったのですけれども、JBICの2部に関してでございますが、私どもとしてはあの部分はODAとOOFに共通する部分を幅広く原則という形で、共通する部分で事業者に求められるものを幅広く原則という形でまとめられたと理解しています。ただ、それにあたるものを貿易保険に限って同じものを作るのは、先程来申し上げていますがOECDでもなかなかまだそこまで議論が至っておりませんし、独自のものを作るということになりますと時間がかかるということもございまして、とりあえずは私どもとしては、なかなかそれを直ちに作るのは難しいのではないかなという考え方で、同様のものは残念ながら作っていないという、作れていないということだとご理解いただければありがたいと思います。

(植田調査役) 
引き続きましてご意見ご質問、おありの方はいらっしゃるでしょうか。

(参加者C)
今日はありがとうございます。先ほど細野さんの方からOECDのガイドラインを説明いただいたのですが、共通アプローチについて、貿易保険としては、いまの内容を十分なものと考えられているかどうか、貿易保険のご判断というのは、どんな感じでいま考えられているのかというのを、お聞かせいただけますでしょうか。

(坂口グループ長)
お答えさせていただきます。政府関係者の方から政府として合意したものの内容について感想を求められると、なかなかお答えにくいものがあるわけでございます。私どもの感想というのはなかなか申し上げにくいので、私どもとしてこのガイドラインをどう位置づけているかという観点で申し上げます。先程来申し上げていますように2003年末までに全ての項目について見直すということなっています。このガイドラインはいろいろな議論があって、その場には私どもからも参加させていただいていたわけでございますが、とにかくECAの中には、先ほどの方のご意見にもありましたが、ヨーロッパの小国のECAを含めてガイドラインを持っていないところがありましたので、できるだけ早く合意をしてOECD全体として進めていくということが優先された、と位置づけています。
したがいまして私ども、できる限り早く改正をさせていただいて、そして、その経験を持ち寄って、よりよいものにするというOECDの議論に引き続き参加させていただきたい、ととらえています。以上でございます。

(植田調査役)
続きまして、ご意見、ご質問のある方はいらっしゃるでしょうか。

(参加者D) 
NEXIのガイドラインは輸出信用機関のガイドラインとしては、私個人としては非常に真っ当なガイドラインだと思っていますし、さほど修正する必要はないのだろうと思っています。
逆にJBICのガイドラインは、やはりODAとOOF、中でも輸出信用を無理にとは申しませんけれども、かなりネイチャーの違うものを一字一句、一緒の規定にしようということで、やはり、輸出信用の観点から見ると、かなり無理がある、プラクティカルではないところが一部あるのかなと思っています。実際に、JBICでパブリックフォーラムが、3回ありました。あとパブリックコメントも途中経過をJBICがお話しされておりましたが、もちろん賛成の方もたくさんいらっしゃいますけれども、やはりOOFサイドから見て輸出競争力の観点で非常に問題があるのではないかという意見も多数出ておりました。特に情報公開とかモニタリング、あるいは異議申し立ての受け付けのところはかなり、オブジェクションも出ておりましたから、その辺も考えると、やはりNEXIがJBICに合わせるということではなくて、逆にJBICがODAとOOFを、中を少し分けて、それでもってNEXIと一緒にしていくというのがプラクティカルなやり方なのだろうと思っています。
先ほどご紹介いただいた中で、NEXIのプロシージャーが不透明であるというお話もあったのですけれど、私個人からすると、やはりJBICのやり方も輸出信用という観点からすると、もちろんパブリックフォーラム等を開いてからのプロシージャーは別ですけれども、それ以前のガイドライン案のもとになる提言書を作る過程においては、輸出信用のステークホルダーの一員である輸出者、あるいは企業サイドが排除とは言いませんけれども結果として参加できないままで、どちらかというとODAサイドの観点からだけで原案が作られたという問題点もありますので、必ずしもJBICさんのプロシージャーがフェアであったということではないと思います。
いまのは全て意見ですけれども、そういう意味でNEXIの今回のガイドラインをJBICに全く合わせる必要というのはないだろうと思っていますし、逆にNEXIの方からJBICに働きかけて、JBICのいまの統合ガイドラインをODAとOOFで分けていただくというような働きかけを、ぜひしていただきたいと思います。以上です。

(植田調査役) 
ご意見ありがとうございました。あと、ひとつほどご意見賜りたく。

(参加者 A) 
2回目ですので短くしますが、いまそのような意見が出たので私もそれについて言わせていただければ、少なくともJBICのプロセスの中では、全てホームページで公開していましたし、参加をすることはできたと思っています。確かに働きかけがあったかどうかという問題を指摘されているのでしょうが、私はいまの批判は当たらないのではないかと思っています。
それから、もうひとつ、輸出者あるいは日本企業の競争力の話というのはよく出るのですが、今日はNEXIの場ですから、私は企業の人に質問するつもりはないですが、ぜひ具体的にお話をしていただきたい。競争力の問題があるので、例えばJBICのガイドラインは行き過ぎであると言われても、雲をつかむような話でして、一体どうなのか。それは例えば、こうこうこうだと、このぐらい時間がかかり、このくらい経費がかかる。実際にやってみると、こうこうこうで、こういうマイナスがあるというようなお話をされると、例えば企業が環境対策をすると、それだけ競争力がこんなに落ちましたという、本当にそういうことがあるのかということです。逆に、環境を進めていってある分野で競争力が高まった企業の話も何度も聞いていますし、一般論として環境を強めるとコストがかかり、競争力が落ちるというようなロジックではなくて、もう少し具体論で、もしNEXIがそういう意見を最終的に取り入れた最終案を出すのであれば、少なくともNEXIとすれば一般論ではなく具体的に、やはりこうこう、こういうことが起きるということが指摘され、それはNEXIとしても看過できないというような説明をしていただきたい、と思っています。
それから、先ほど坂口さんがおっしゃった件ですけれども、ちょっと私なりに解釈するとちょっと疑問だったのですが、その最後の施行までに期間を置くという話の中に三つ説明されましたが、その最初にすでにEIAが作られている案件もあって、その事業実施者がすぐに適用できない場合がある。これは、つまりですね、内々に相談を受けていて、そこがEIAが終わっているので、そういう人たちの便宜を図らなければいかんというふうに聞こえるわけですね。つまり、私が申請を受け付けたというところにこだわるのは、いままで企業の人たちから接触を受けていて大体、EIAも終わっていて、行こうかなと考えていたものが、これで止まるのを防ぐというようなニュアンスを感じるのですね。それは、もしかしたら誤った取り方かもしれないので、そこはクリアにしていただきたい。NEXIとして施行期間を置くというときに、すでにEIAが終わっていて事業実施者が、これからやることが不可能だというようなことが、もしこの施行期間まで、施行までの期間を長引かせるのであれば、そんなプロジェクト、たぶんいっぱいあるでしょうから一体何をもってして、ここの、この曖昧な点で施行期間を設けようとしているのかがよくわからないのです。もう少し、クリアに言っていただきたい。あと情報公開の規則をNEXIが作られるまでの間、ずっと施行を据え置くのか、つまり施行しないのか。いまのお話を聞くと、そのようにも受け取れますし、公布された法律によれば1年間あるわけですから、下手をすれば今年の末くらいまでNEXIは情報公開の規則を作らないでもいいわけですから、情報公開の方針を決めるまでこの執行が遅れるのかどうか、そこをもう少しはっきりと坂口さんの方から伺いたいと思います。

(坂口グループ長) 
ご説明します。第1点目のところは、言葉足らずだったのかもしれないと思います。最初のEIA関係と申しますのはODA関係と類似したことでございまして、私どもの場合はEIAについては2年間と申しますか、2003年末の見直しのときに、どういったEIAが必要か、いわゆるいくつかの要件を明示したEIAが必要ですという形にするかどうかも含めて、JBICが行われようとしている経過措置期間にあたるものとして、私どもは2003年にもう一度見直すという趣旨でございます。
個別のプロジェクトで適用をどうするかということにつきましては、これはある一律の基準を設けまして、例えば私ども保険料の値上げのお願いをするときがございます。そうしたときであっても、事後的に値上げをするということは不公平な取り扱いになりますので、ある一定の基準を定めまして一律に、その前の料率を適用するか、あるいは新しい料率を適用するかということを行っていますので、それと同じようにある一定の周知期間という趣旨だと考えていますが、一定の基準で、前の料率を適用するのか、新しい値上がった料率を適用するのか、というようなものと同様に経過措置というものを考えています。
2点目の質問につきましては情報公開法の施行というのは、まだ時期がきっちり決まっているとは伺っておりませんが、私どもOECDの共通アプローチの実施というのは今年の1月からできるところはやりなさいということになっておりまして、いくつかのECAではすでに改正してもう適用しているようでございますので、できるだけ早く始めたいと思っています。
ただ、情報公開の部分についてだけは私ども、これも前回ご説明いたしましたが、どういった手続きにするのかとか、いくら手数料をいただくのかとか、いろいろ内部で、環境だけではなくて、いろいろな情報公開に対応できるような手続き、その他、規程を定めなければいけないものですから、私どもとしては情報公開法による情報公開と同じ時期にさせていただくのが一番混乱なくできるのではないかと考えておりまして、場合によっては実施の時期がずれるということがあり得る、ということをご説明させていただいているわけでございます。全てが情報公開ができなければできないであるとか、すべてが2003年末でなければできないとか、そういうことを申し上げているわけではございませんので、ご理解をいただきたいと思います。以上でございます。

(植田調査役)
それでは、部長の佐藤より皆様にご出席のお礼を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

(佐藤審査部長) 
時間がまいりましたので、閉会とさせていただければと思います。前回に引き続きまして、本日もたくさんのご意見、あるいはご質問等を頂戴いたしました。どうもありがとうございます。今日、いただきましたご意見、今後お寄せいただきますパブリックコメントをも含めまして、引き続き今後の検討に生かさせていただければと思います。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。

(植田調査役)
ありがとうございました。なお、ガイドラインの改正案に関するご意見は2月の28日までホームページとFAXにて受け付けさせていただきますので、お寄せください。よろしくお願いいたします。(了)

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