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環境への取組

2002年環境ガイドライン制定までの経緯

「貿易保険における環境配慮のためのガイドライン」
一部改正に関する説明・意見交換会の概要

 1月30日(水)14時~15時半、日本教育会館一ツ橋ホールにおいて、標記会合を開催いたしましたところ、85名の方のご参加を得て、たくさんのご意見、ご質問を頂きました。以下は、当日の様子について、質疑応答を中心に取りまとめたものです。(ホームページ上での公開にあたり、各参加者の方にはご自分の発言内容の書きぶりについてご確認を頂いておりませんので、文責は日本貿易保険にありますことをご了解願います。)

日本貿易保険の出席者: 佐藤審査部長
坂口環境グループ長
植田調査役(審査グループ)
細野調査役(環境グループ)

ご挨拶

(佐藤審査部長)
本日は、私どもの環境ガイドライン改正に関する説明・意見交換会にご参加頂きまして有り難うございます。既にご存知の方も多いかと思いますが、昨年11月、OECD輸出信用部会におきまして、大部分の加盟国によって、環境共通アプローチを本年1月から自主的に実施していくこととなりました。環境共通アプローチとは、OECD加盟国の公的輸出信用機関がプロジェクトの環境配慮を確認する際に、共通に守るべきルールなどを定めたものでありまして、日本貿易保険といたしましても、この共通アプローチに適合するよう、4月までの改正を目標に、現行の環境配慮ガイドラインの改正作業に鋭意、取り組んでいるところでございます。貿易保険におきましては、2000年4月に通商産業省貿易保険課において、環境ガイドラインを作成・施行し、2001年4月の独立行政法人化に伴い、日本貿易保険が環境配慮の確認を行ってきています。これまでの運用上の経験も踏まえ、この度、その改正案をとりまとめましたので、これを私どもから皆さまに説明申し上げますとともに、皆さまからもご意見をお聞かせいただく場として、本日、このような場を設けさせて頂きました。限られた時間ではございますが、有益な意見交換の場とさせて頂きたいと考えていますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。なお、お配りしたガイドライン改正案につきましては、本日付けで私どものホームページ上でも公開しまして、パブリックコメントの募集を開始いたします。本日の私どもからの説明も踏まえてご検討いただき、コメントをお寄せ頂けますと幸いです。以上、簡単ではございますが、私からのご挨拶に代えさせていただきます。

ガイドライン改正案説明

(続けて、日本貿易保険よりガイドライン改正案を説明。)

(植田調査役)
本改正案につきましてご意見・ご質問等ありましたら、挙手をお願いいたします。

(参加者A)
三つ質問させていただいてよろしいでしょうか。
一つ目は、ここに書かれていますように、NEXIはいくつかファシリティをお持ちですけれども、大きくはバイクレ保険といわれるものと、それと海事保険、あと投資です。この二つ、特に海事保険のほうは、他のECAが輸出保険をベースに環境基準というのを考えていると思うのですが、NEXIの場合、海事保険の特性、非常に私どもにとってはありがたい保険ですけれど、ちょっとバイクレ保険と中身が違うと思うのですが、それでもこの環境のガイドライン、この評価の仕方というのは同じ基準で行われるのでしょうか、あるいはある程度御勘案いただけるのかというところをお伺いしたいのですが。
2番目はモニタリングを行われるということなのですが、そのタイミングと具体的な方法というのは、一応必要に応じてと書いてあるのですが、どのようなお考えなのかお聞かせいただきたいのですが。
最後にカテゴリーAにプロジェクトが該当した場合、多分デューディリをやられるのだと思うのですけれども、コストもかかるので、具体的な考え方というのを教えていただけますか。以上です。

(細野調査役)
前の二つのご質問についてお答え申し上げます。今回のガイドライン改正案では、対象案件につきましてはすべての中長期案件ということではっきり明記してございますので、保険種の違いということはあるかもしれませんが、結局、私どもが見るのはそのプロジェクトが環境配慮をきちんとしているかどうかということでございますので、基本的にはこの一つのガイドラインをもって環境配慮確認をさせていただくという整理になります。
それからモニタリング等につきましては、具体的にどういうものが、私ども日本貿易保険として好ましいのかということをまだちょっと検討中でございます。試行錯誤の中でやっているのですが、2年後に共通アプローチが見直されるということもありますので、とにかく大切なことだと思いますので、具体的に何をやるかということはこれからまだ検討させていただきますけれども、手探りながら始めさせていただきたいと思います。詳細についてはまだちょっと検討中ということでございます。

(坂口グループ長)
最後のコストの問題についてご説明させていただきたいと思います。カテゴリーAに該当いたしますと、環境アセスメント報告書を原則提出いただいて、私どものほうで、その中身を見させていただいてレビューを行っていかなければいけないわけでして、ご指摘のとおり、それなりのコストがかかるわけでございます。この場合、現行のガイドラインでカテゴリーAにあたるセンシティブ・サイトの環境レビューにおきましては、サンゴ礁とか住民移転とかについては、私どもの中に専門家もいないということもあり、コンサルタントへの外部委託という形で行っておりまして、そのコストをお客様に負担していただいているという現状にございます。
その扱いはどうなるかというご質問だと思いますが、今回カテゴリーAのほうにセンシティブ・セクターも加わってまいりますが、センシティブ・セクターにつきましては、EIAレポートの中身は、その排出基準等が中心ですので、私どものスタッフを増員する形で対応していくということを考えています。ただ他方、センシティブ・サイトは、やはり外部のリソースを活用せざるをえないということでございまして、引き続き、環境審査フィー制度の下でお願いしたいと思っています。

(参加者B)
簡単な質問を一つしたいのですが、スクリーニングフォームは新しいフォームを作られるのでしょうか。

(坂口グループ長)
お答えいたします。スクリーニングフォームと環境配慮確認票は、まずお客様の方で記入し、ご提出いただいています。そうした私どもの制度を運用する中で、JBICと同じ案件について環境配慮の確認をするということがあり、お客様のほうからできる限り同じ項目、あるいは同じフォームにしていただきたいという強い要望をお聞きしておりまして、今、JBICとご相談しているところですが、基本的には同じ様式にさせていただきたいと思っており、現在、作成中でございます。

(参加者C)
一つのプロジェクトに複数のOECD加盟国のECAが参加される場合に、今回、共通アプローチということなのですけれども、手続きを一本にというか、一つの評価でもって各国のECAがそれを確認すればよしとするといったような簡易化されるような手続きというのはなされるのでしょうか。それとも、それは必ずそれぞれのECAがやらなければいけないという現状の問題はずっと残る形になるのでしょうか。その点をお聞かせください。

(坂口グループ長)
お答えさせていただきます。OECDの共通アプローチのREV6が公表されていますが、その中で、共通のプロジェクトである場合に、ポーションが小さいECAは、主としてその事業を行っている事業者のECAの環境配慮結果を用いて判断することができるとなっていると思います。
すなわち、それはそれぞれのECAが判断をしなければいけないということが前提になっているのではないかと私どもは思っています。ただ、それぞれのECAが環境配慮確認をするにあたりまして、先ほどのような例もありますし、あるいは共同してメインのパートをいくつかのECAが分担しているような場合であっても、お互いにその情報交換をしながらできる限り同じその環境配慮の結果になるようにという趣旨だと考えられますが、環境レビュー中の情報交換についてもOECDの共通アプローチに規定がございます。私どもとしても、他のECAとよく情報交換をしながら、円滑にプロジェクトが進むように環境配慮の確認を行ってまいりたいと考えています。

(参加者C)
具体的にはコンサルタントを外部に委託する際に、そのコンサルタントが共通のコンサルタントを使うという可能性もあると考えてよろしいでしょうか。

(坂口グループ長)
具体的なプロジェクトによりますので、なかなか一般論は申し上げにくいわけではございますが、例えばプロジェクト・ファイナンスのような案件で、各国のレンダーが共通してコンサルタントを用いられるような場合があるとお聞きしています。私どもの環境配慮の確認においても、前の質問でご説明いたしましたように、私どもにリソースがなく、外部の専門家にお願いしなければいけないものにつきまして、レンダー共通コンサルタントを通じて、環境に関する情報を収集していただくというようなことが可能だと思っていますし、実際にそのように進めさせていただいている案件もございます。

(参加者A)
質問というか、お願いなのですが、先ほどスクリーニングフォームの件で、大体お客さんとのやりとりというのは英語バージョンでやるのですけれども、従来は日本語に翻訳して提出するということになってたと思うのですけれども、今後は英語のままでもよろしいでしょうか。
内容の細かいところはお客様と話しながらやるのですが、何分にも私ども、素人なものですから、英語そのままですとスッといくのですけれど、日本語に直したら誤訳もありますし、できれば英語でやりとりをさせていただければと思います。

(坂口グループ長)
先ほどのご質問でもございましたように、スクリーニングフォームはJBICとできる限り共通のものにしたいと考えています。他方、情報公開との関係がございまして、スクリーニングフォームについてもどういうふうな情報公開をするかというのは商業上の秘密等との関係がございますので、まさに検討しておる途中ではございますが、ご要望も踏まえて検討させていただければと思います。

(参加者D)
まず一つ目が、新しいガイドラインの案がOECDの輸出信用ワーキング・パーティーの中でもNGOとの会合が何度も持たれてきたにもかかわらず、このガイドラインを策定されるにあたって全く不透明なプロセスで行われたことを非常に残念に思っています。
この中身ですけれども、ECGのコモンアプローチに関しても、REV6に関しては、私ども、今も特に情報公開と住民との協議のところにおいて非常に弱いというコメントを出しておりまして、この新しくNEXIで作られたガイドラインに関しても特にそこのところが非常に弱い、何も書かれていないというふうに思っています。情報公開に関しては、いつ、どのようなものを出されるのかということがここに書かれていることでは全くわかりません。
また、協議に関して、その住民との協議を相手国の制度にのっとって行われているかどうかを確認するということですけれども、これは、従来行われているその相手国の制度に沿って環境配慮が行われているかどうかを確認するという、その基本的な、相手国の法制度を守っているかどうか、これは全く当然のことでありまして、それ以上の何か新しいことが全く見られないという意味で、一番重要な情報公開、協議の部分が弱いので、これを少なくとも現在のJBICのガイドライン案が出されているものと同じものにしていただかないと、国内で環境のダブルスタンダードが起こるという事態になってしまいますので、これに関しては必ず修正をしていただきたいと思っています。
特に、もう一つは、環境アセスメント報告書ですけれども、必要に応じて提出可能な限り求めるということですけれども、これではカテゴリーA、これは非常に環境の影響が大きいと考えられる大規模なプロジェクトであるにもかかわらず、こういったものにも環境アセスメントを適用しない、提出を求めないというのは、どのようにしてNEXIが今後環境配慮をされていくのかなという疑問を持たざるをえないというところでございます。
特にJBICの環境ガイドラインと比較して考えますと、環境配慮対策を行っていくうえでどういうふうなところを、事業者に配慮してもらう必要があるのか、そこの部分に非常に重要なポイントをJBICのガイドラインでは置いています。その中で、環境配慮の確認も、どういうふうなポイントに注意してやるべきなのか、住民との協議をどういうふうに進めていくべきなのか、住民の方への説明をどういうふうにやっていくべきなのか、非常に細かいところが定められていますけれども、このNEXIのガイドラインでは全くそういうところが見られませんので、特に事業者にどういうふうな環境配慮を求めるのか、もう少しわかりやすく書いていただかないと実際の配慮というものはどこまで進むのかなというふうに考えています。
最後に、パブリックコメントの期間が設けられるということですけれども、最終的にいつまで求められて、最終的にいつこれを完成される予定なのか、もう一度お聞きしたいと思います。

(坂口グループ長)
最初のプロセスが不透明というご指摘につきましては、私どももできる限り取り組むように努力させていただいているわけでございます。本日の会議に先立って案をお示ししようと努力したわけでございますが、案の確定に時間がかかってしまい、この場で配付させていただくことになったことは申しわけないと思っています。
また、こうした説明、意見交換会というのも、私どもとして初めての取組みでございまして、不手際等もあるかと思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
最後のご質問からご説明したいと思いますが、パブリックコメントはきょうからホームページで始めさせていただき、短い期間ではございますが、2月28日までに、きょうの御議論も踏まえて、忌憚ない意見をご提出いただければ、ご協力いただければと考えています。
次に環境アセスメント報告書についてでございますが、基本的には、私どももカテゴリーAにつきましては提出をしていただくこととしています。できる限り求めるとしてあり、恐らく二つの点が、すなわち、提出そのものを求めるという点に加え、その提出いただく環境アセスメント報告書の中身が、とりわけ住民との協議であるとか、情報公開についてきちんとしているものであるかどうかという点、その2点があると考えています。
それで今回のガイドラインの改正の位置づけでございますが、OECD共通アプローチは2003年末までに見直すということになっておりまして、とりわけ公開の部分は、OECDでも議論があったところでございまして、私どもとしてはできる限りのことをやるよう努力するということでございます。
JBICは、より明確な形で先ほどご指摘のあったようなことを求められているということですが、きちんとした環境アセスメント報告書を作っていくプロセス、あるいはそれに基づいて融資等を検討されるプロセスには、2年間程度の経過期間が必要だということを伺っています。
私ども、2003年末と申し上げますと2年もないわけですので、現段階としては、2003年末の見直しを前提に、できる限りのことをやっていくという整理をさせていただいているわけでございまして、決して先ほどご指摘がありましたような国内でダブルスタンダードになるとは考えておりません。
実態的にも、先ほど申し上げましたようなバイヤーズクレジット等の案件で、同じフォームに基づいて、同じ情報を提供していただくわけですので、同じように、私どもも環境配慮の確認をさせていただくということでございます。
最後の質問でお答えを忘れていた部分がございまして、私どももJBICと同じく、4月1日までこの現行のガイドラインの改正を行いたいと考えています。ただし、細野の方からの説明の中にもありましたが、経過期間がやはり必要でございまして、仕掛かり案件、あるいは情報公開の関係でございます。情報公開につきましては昨年の12月5日に独立行政法人等情報公開法が公布され、1年以内に施行ということでございますので、私どもも準備作業を進めておるわけでございますが、私どもの中の事務的な手続き上で直ちに施行できるかというと、まだこれからいろいろ準備が必要であると考えています。また、利用者の皆様にとって、あるいはプロジェクト実施者との関係で周知期間が必要だということも考えられますので、現在、経過措置について検討しているところでございます。
その際には、JBICと共通する案件については、同じような対応にさせていただくように、情報交換等をさせていただきたいと思っているところでございます。

(参加者E)
今の情報公開のことで、ちょっと明確にしておきたいのですが、今回示された改正案の中で、情報公開については4ページ目の(3)、6ページ目の6の情報公開、それに7ページ目の別紙と、3カ所にわたって示されていると思うのですが、4ページの(3)の環境レビューの中では実際に適切なステークホルダーのパブリック・コンサルテーションの結果等に関する情報の提供を求めると書いてあります。
つまり、その段階で情報の提供がされたうえでパブリック・コンサルテーションが得られているということを期待しているかと思うのですが、6の情報公開のところではプロジェクト実施者が環境影響に関する情報を公開するよう促すというふうにあります。そして7の協議でも、同じように情報が与えられたうえで協議のされている記録をというようなことが書かれているわけですが、一つ明確にしておきたいことは、NEXIが行われる情報公開と、スポンサー、あるいは輸出者が行うのが望ましいと思っている情報公開について整理をしていただきたいと思います。
これを読むと、「促す」、これはもしNEXIは促すにとどまるとするならば、情報公開がなされない中で住民協議をするということも想定としてあるわけですよね。しかしそれを最初から想定したので、この4ページに書かれていること、あるいは7ページのフォームに書かれていることが、なかなか実現は難しいだろうというのを最初から前提にしているのではないかと思うのですが、このあたり、書き方としてはなるべくやりますよという書き方をしているのだと思うのですけれど、実際のところスポンサーなり輸出者に求めている情報公開とNEXIがやる情報公開という点について、どこまでやられようとしているのかご説明をいただきたいのですが。

(坂口グループ長)
私どもも、住民協議であるとか、現地での情報公開を非常に重要だと考えています。
ただ、先ほどもご説明しましたように、2003年末までの見直しの期間というものにつきましては、いわば一つの経過措置的なものとして、最大限努力をするという期間だと整理をさせていただいているところでございます。
実際にその住民協議を現地でスポンサーが行われたり、あるいは情報公開された情報を私どもに提供していただいて、その情報をまた私どもとしてどう公開させていただくかというのは、この二つは別の問題であると思います。
私どもに提供いただいたアセスメント報告書を含めて、情報公開がどれだけできるかということは、商業上の秘密との関係で、できるだけ公開をお願いいたしますということで、輸出者等を通じて、スポンサーに働きかけて、できる範囲でできる限り努力をしていくということでございます。

(参加者E)
今の件でちょっと追加で、ちょっと言い方がまずかったかもしれませんが、現地で住民なりNGOなりに情報をもし公開していれば、その情報はその協議のために公開していれば、当然それは現地で公開されているわけですから、NEXIが日本で公開することも全く問題ないのではないでしょうか。それに商業上の秘密についてもこれだけ明確に書いてあるわけですから、商業上の秘密にはもちろん留意をして、そのうえで原則として公開をしていくというふうに書けば、今おっしゃったような問題も解決するのではないかと。
つまり商業上のことはもちろん加味をする。そのうえでもなるべく努力するでは、一体商業上の秘密以外何を情報公開できないのかということがちょっとわからないので、この改正案をパブリックコメントにも出しますけれども、最終的に作り上げるときに、そのあたりすべてを全部をオブラートに包むのではなくて、絶対できないことはできないと書かれるのがもちろんいいと思いますし、しかしできることまで望ましいとか、そういう方向にされるのはどうかなと思いますので、そのあたりの整理についてはぜひ2月中までにしていただければと思います。

(坂口グループ長)
はい、ご意見としてお承りしたいと思います。私どももできることはできるというふうに書いているつもりではございますが、文言上の整理等もあるかもしれませんので、その点についてもご意見を前広にいただければありがたいと思います。

(参加者D)
今の情報公開に関連してですが、JBICではカテゴリーAの環境アセスメントに関しては現地で公開を要求して、JBICのほうからも公開するというふうに規定されているわけですけれども、今のこのガイドラインを見せていただく限りでは、JBICのカテゴリー分類とNEXIのカテゴリー分類とほぼ同じものだと考えていますが、その場合、JBICで公開してもNEXIは公開しないというふうな、非常にゆがんだ状況を作り出していこうというふうに考えておられるのか、その点についてきちんとお聞きしたいということと、情報公開の最後のところに、日本貿易保険が行う上記の情報公開は日本貿易保険が適当とする方法によることとするというふうに書かれているのですが、これはどういう意味なのか少しご説明いただきたいと思います。

(坂口グループ長)
1点目ですが、先ほどのご質問の際にもお答えいたしましたようにダブルスタンダードということはございませんでして、公開できない情報というのは商業上等の秘密ということであると思いますので、JBICが公開できる情報は私どもとしてももちろん公開できるということになると思います。
2点目は、リーガルな議論でつけ加わっているものでして、先ほど情報公開法との関係を申し上げましたが、私ども、情報公開法への対応というのを今まさに準備をしておるところでございまして、その手続き、請求の仕方であるとか料金であるとか、いろいろ別途定めることになりますので、そうしたことを念頭に置いて、主としてリーガルな観点からこの一文が入っているわけでございます。

(参加者F)
既に私ども、JBICに対しては、今回の統合ガイドラインについて民間ビジネスを阻害しないという基本的な観点から立って、いろいろ要望をさせていただいています。
まずNEXIもJBICも、いわゆる輸出について、公的な輸出信用機関として、その投融資をされる機関と、片やその保険をされる機関ということで、基本的にOECDのベースで、基本的には同じ方向で環境ガイドラインを進めていく、そういう性格だと思っています。
したがいまして、今回のNEXIのこの環境ガイドラインにつきましては、まず先般出されましたOECDの輸出信用に係る環境のガイドライン、これを基本的にベースにしていただきたい。
なぜならば、やはりプラントビジネスは、民間企業が非常に国際競争の場にさらされておりまして、そういう中でとにかくタイミングよく入札に参加して、案件を取ってくる、そういう世界でございまして、そういう中で、極力、コスト、それから時間というところで、制約があるわけです。
そういう意味では、他国のECAと比べて、イコール・フッティングに立たないと、そもそも競争に勝ち抜いていけないということがございますので、まず大前提は、OECDの環境ガイドライン、ECAのコモンアプローチを最大限配慮していただきたいというのがございます。
それから国内的には、先程ダブルスタンダード云々の話がございましたけれども、基本は輸出信用機関ということですので、JBICがかなり理想的なガイドラインを作られようとされてますけれども、それはそれでいい話であって、NEXIは業態も違いますし、NEXIなりのガイドラインをお持ちであるべきですけれども、方向は環境配慮ということでいいのではないかなと思っています。
それから先ほど情報公開の点が議論されておりましたが、情報公開は、基本的にその方向としては正しいと思いますけれども、商業上の機密というのがございます。したがいましてこれは民間のビジネスの観点からは、JBICのガイドラインでも努力するというような努力条項になっていると思います。したがいましてそれは商用上の機密に違反しない限りは、その情報公開に協力いたしましょうということだと思います。
それから環境アセスメントについても、それぞれの途上国で実態は非常に違うと思います。JBICによりますと、努力してホストカントリーでEIAが公開されて、ステークホルダーによって閲覧されることを期待していますけれども、これはもう現在の途上国の状況から見てそこまでいっている国はほとんど、本当にあるのかないのか非常に疑問でございます。
JBICも途上国の現状を考慮されてか、努力条項になっているので、やはり、民間のビジネスの観点から申し上げますと、途上国の実態というのは厳然とした事実としてありますので、そういう投資環境の下で商売を取っていくためには、やはりベストを尽くすということは必要でございますけれども、情報公開の点についても、先ほど来申し上げました機密保持の点、それから途上国の現状ということを考えますと、やはりOECDのECAの環境ガイドラインアプローチに足を置いて、考慮すべきではないかなと思います。そういう意味でやや運用の問題が出てくるのかもしれませんが、そこはぜひJBICとも連携していただいて、いたずらに時間をかけるとか、同じような方向を向かう話ですから、審査の期間も極力、先ほどスクリーニングのシートを共通化されるというお話をされましたけれども、非常にいいことで、ぜひそのあたりは連携されて、環境配慮という非常に重要な目的に向かって、努力されていただければと思います。

(参加者G)
先ほどJBICのガイドラインと、今回のNEXIのガイドラインで、比較の議論が出ていたのですが、私もきょう初めてNEXIのガイドラインを拝見させていただきまして、ちょっとざっと見た限りでは基本思想においては、JBICとほぼ共通されているなと。細部、文言的にはちょっと違う面もあるけれど、まあ、ほぼ大体足並みをそろえて作成されてるなという印象を持ちました。JBICのガイドラインと、NEXIのガイドライン、これが必ずしも完全に共通していなければいけないかというと、そうではないと思います。JBICのガイドラインの場合、ODAのガイドラインと輸出信用のガイドライン、これを統一するということで、昨年、ガイドラインをまとめられたのであって、NEXIのガイドラインの場合はバイクレ保険以下、輸出信用を主体に置いてまとめられたガイドラインで、それぞれ性格の違いがあるというのは多少やむをえないと理解しています。
それでちょっと問題になってくるのは、やはり先ほどの議論が出たのですが、バイクレ保険のように共通の案件をレビューする、こういったものについてどういうふうに取り扱うかという話だと思うのですが、現状からはちょっと飛躍した議論になるかもしれないのですが、将来的に、スクリーニング、あるいはレビューの作業の一部をある程度統一化とか、作業を一部統一、一本化するとか、そういった取り組みが将来的にあるのかという質問です。
それで先ほど発言された方も言われましたように、一本化するということになると審査のスピードアップで非常にユーザーサイドも助かるというメリットもあると思います。
もちろん原則論からすれば、JBICはJBICでスクリーニングとレビューをされて、意思決定で融資するかしないかを決めて、NEXIもスクリーニングとレビューをされて、保険契約の意思決定をされるかどうかを決められるということだと思うのですが、入口のところはある程度共同作業で、あるいは一本化してもいいのではないかなと思うのですが、将来的にその入り口のスクリーニング、あるいはレビューを一本化するとか、そういうプランニングがあったらお聞かせいただきたいのですが。

(坂口グループ長)
ご説明させていただきます。冒頭の説明のほうで、細野からも説明させていただきましたように、環境レビューは私どもの貿易保険の内諾審査におけるリスク評価の重要な構成要素ですので、私ども自身の判断と責任においてやらせていただくということだと思っています。
それと前に出た質問にもございましたように、OECDの共通アプローチにおいても、基本的に各ECAはそれぞれきちんと判断するという前提に立っていると私どもは理解していますので、現時点ではそれぞれがきちんとやるということだと思っています。
他方、先ほどのご意見にもございましたように、できるだけコストと時間がかからないように、輸出信用案件については進めてもらいたいというご要望がございましたので、私どももできる限りJBICと協力させていただいて、お客様から同じ情報を提供していただき、それぞれ情報交換もさせていただきながら、できるだけ早く結論を出すという運用をさせていただきたいと思っています。

(参加者G)
追加でお聞きしたいのですが、基本的にJBICと同じフォームを使われるということで、恐らく我々も同じフォームであれば同じことを記入するということになると思うのですが、それについて、スクリーニングとレビューで、理論的にいうと二つの機関、それぞれレビュー、それぞれの観点からレビューされていくことなのですけれど、これは基本的にレビューの結果、スクリーニング結果もほぼ同じということで考えてよろしいのでしょうか。あるいは例えばどちらかの機関のほうでカテゴリーAと判定されて、あるいはもう一方でBとされるとか、そういうことはありうるのですか。
基本的に、大筋において基本思想というのは大体足並みそろえられていると思うので、大体レビュー結果というのも同じというふうに理解、最終的には同じ理解になるかと理解しているのですけれど、ちょっとそういった意味でも、ある程度スクリーニングとレビューの将来的な統一ということを申し上げた次第なのですけれど、その辺をご説明いただけますでしょうか。

(坂口グループ長)
スクリーニング結果につきましては、同じ情報を提供いただいて同じ判断基準で行いますので、同じ結果になることがほとんどではないかと思っています。
ただ、繰り返しになりますが、もちろん2003年末までにはOECDの共通アプローチを見直すという議論の中でこうした問題が取り上げられないわけではないとは思うのですけれども、私どもとしては現段階では、スクリーニングからモニタリングまで、それを一貫して環境配慮確認という手続きですので、それぞれの機関の判断と責任において、やらせていただきたいというふうに考えています。
もちろん将来のことは将来ということだとは思いますが、現時点ではそうした整理にさせていただきたいと思っています。

(発言者H)
中身の問題というより、そのドラフトの改正の過程と、それからパブリックコメントのやり方についてご質問させていただきたいと思います。
改定にあたってその努力をしたということを先ほどからおっしゃっていらっしゃいましたが、例えばどういったところと意見交換をしたのか、そういったものの開示をしているのかということも一つお伺いしたいのと、パブリックコメントが2月の末までということなのですが、やるからにはきちんとPRをしてたくさんの意見を集めてほしいと思っていますが、そのパブリックコメントで得た意見ですとか提案事項をどういうふうな形で今回のドラフトに反映させるのか。例えば180度違った意見が出てくる場合もあると思いますが、そういった場合、その取り入れるような可能性はあるのかどうかということ、どのぐらいの重きをそのパブリックコメントに置いているかということについてお答えいただきたいと思います。

(坂口グループ長)
1点目の努力させていただいたという点でございますが、私の申し上げたかったのは、本日のような機会を設けさせていただいて、お客様、あるいは関心のある方、どなたでもご参加できるような会で、意見交換をさせていただいているというところでございます。
次に、どういうところと意見交換をしてきたのかということですが、私どもとしてはこれまでのOECDでの議論、もちろんその間には政府関係者とも意見を交換をさせていただいていますし、JBICとも意見交換をさせていただいています。
また、統合ガイドラインの研究会の報告会にも私ども参加させていただいていますし、JBICのパブリック・コンサルテーション・フォーラムにも参加させていただいたりしています。外国のECAがどういった考え方でガイドラインを改正するのかというようなことについても、OECDの会議の場等を通じて意見交換をさせていただいています。
2点目の今後の進め方でございますが、パブリックコメントを踏まえまして、私どもとして反映できるものはできるだけ反映させていただきたいと思っています。
ただ、先ほど来ご説明させていただいていますように、2003年末にはOECDの共通アプローチを見直すという方向で議論が進むわけでございますので、ご提出していただいた意見は180度違って今回取り入れることが困難だという整理にさせていただく場合においても、OECDへの議論に参加していく際に活用させていただいたり、それを踏まえた私どものガイドラインの改正ということも当然考えられますので、そうした機会に向けて活用させていただくということでございます。まとめますと、2月末のパブリックコメント締め切り、それを踏まえたご意見の整理と、それを今回の改正に反映する、あるいは反映できないものであっても将来、すごく近い将来ですけれども、OECDの議論への活用という整理を考えています。

(佐藤審査部長)
それでは時間がまいりましたので閉会とさせていただきたいと思います。限られた時間の中でたくさんご意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。今、坂口から話をいたしましたように、この場でいただいたご意見、さらに今後お寄せいただきますご意見を伺いまして、今後の検討に活かしていきたいと考えています。ぜひ引き続きよろしくお願い申し上げます。本日はご参加いただきましてありがとうございました。(了)

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