NEXIニュース

1. 2019年度（上期）の概要

2019年度上期における、損失等発生通知に基づく保険事故の発生額は約430億円となりました。前年度の同期間と比べ、金額及び件数ともに増加しています。
お客様よりご通知頂いた事故発生の状況をもとにした非常危険または信用危険のリスク別では、前年度同期比の金額ベースで、信用危険は半減しているものの、非常危険は5倍強の増加となりました。

同じく上期の保険金支払額は、非常危険及び信用危険とも大幅に増加し、前年度同期比2倍以上の約195億円となりました。

2. 保険事故発生と保険金支払の実績

(1)　リスク別（非常危険／信用危険別）

注1:　*事故発生は、上期に受理した損失等発生通知を集計したものです。
注2:　*保険金支払は、過去に受理した損失等発生通知案件について上期に支払った分を含みます。
　　　*各項目の数字は四捨五入で表記しているため、合計と一致しないことがあります。

＜2017年度～2019年度（上期）の事故発生・保険金支払金額の推移＞

(2)　地域別

2019年度（上期）の地域別実績

①事故発生
非常危険は、アジア・中近東が9割以上を占めています。
信用危険は、アジア・中近東が6割、南米が3割と、両地域で多くが発生しています。

②保険金支払
非常危険は、北・中米が約29億円、アジア・中近東が約21億円の保険金をお支払しました。
信用危険は、アジア・中近東が約66億円、南米が約48億円、ヨーロッパが約25億円、北・中米が約5億円となっています。

(3)　事故発生の保険種別（短期、中長期）

①　非常危険

　非常危険の事故は貿易一般保険で発生しています。組合包括保険で約250億円、企業総合保険約13億円、個別保険約16億円の損失発生が通知されました。
　事故発生事由としては、「経済制裁」、｢支払国に起因する外貨送金遅延｣、「自然災害」などが挙げられます。

②　信用危険

※海外投資保険における信用事故は合法的政策変更リスク（約款第2条第1項6号）のみ

　信用危険の事故では、企業総合保険約37億円、組合包括保険約32億円、中長期の海外事業資金貸付保険約47億円の損失発生が通知されました。
　事故発生事由は「3ヶ月履行遅滞」が大半を占めています。

(4)　バイヤー格付別の信用事故発生状況（短期）

　※バイヤーの格付けの解説はNEXIのホームページをご参照ください。
https://www.nexi.go.jp/about/step2-8.html#yoshin

おわりに

　2019年度上期の保険金支払は、金額、件数共に前年度同期比で増加しました。保険事故も多く発生しているため、下期も引き続き多額の保険金支払が見込まれます。
　近年の貿易戦争などの保護政策の顕在化、世界各地での反政府デモの暴動化、様々な自然災害の発生等、世界情勢は流動的であり、ますます保険事故や保険金支払が増える可能性があります。

　お客様におかれましては、日頃から、バイヤーや取引の状況変化にご留意いただくとともに、事故発生時には損失の防止や軽減にご協力いただいており、感謝申し上げます。
万が一、お客様のお取引で、保険事故が発生しましたら、下記までご相談ください。
　また、保険事故や保険金請求の各種手続きについて、ご質問やご不明な点等がありましたら、遠慮なくお問合せくださいますよう、よろしくお願いいたします。