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Webマガジン e-NEXI

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特集
2019年ベルン・ユニオン@ハイデラバード秋期総会について
-2019年上半期における世界の貿易保険の動向-

 ベルン・ユニオン(BU)1の85周年記念開催にあたる2019年秋期総会が、10月20日~24日の日程でインドのシリコンバレーこと、ハイデラバードにて開催されました。短期委員会、中長期委員会、投資委員会の各委員会では、参加機関の2019年度の実績報告や関心が高いテーマについての議論が行われました。また、全機関が参加する全体会合では、BU全体にかかる報告やプレゼンが行われました。その他にも、アジア地域の輸出信用機関(ECA)による個別会合が開かれました。
 NEXIからは、4名が本店、1名が大阪支店から、また、所長を含む3名がパリ事務所から出席し、世界各国のECAの最高責任者から実務担当者まで、多くの関係者と実績及び課題や今後の取組について意見交換を行いました。

1.2019年上半期の世界全体における貿易保険の動向2

(1) 短期輸出保険

短期保険における、2019年上半期の全機関の新規引受額は、2018年に比べてほぼ同水準の約1.7兆米ドルとなり、貿易引受量の成長率の伸び悩みを反映しておりました。

(2) 中長期保険

中長期保険における、2019年上半期の新規引受額は、2018年下半期に比べて約27%減の約590億米ドルとなりました。主な原因は北米地域とASEAN地域におけるコーポレート向けの引受実績が48%下落したことによります。

(3) 投資保険

投資保険における、2019年上半期の新規引受額は、2018同期比50%増の約270億米ドルとなりました。この数字は一機関の引受実績に強く影響されております。同分野の需要は比較的穏やかに推移しており、特定のリスクに対する強いアペタイトを明らかにしています。

(4) 支払保険金

2019年上半期の全機関の支払保険金は前年同期比約21%増の約30億米ドルで、うち短期輸出保険はおよそ15億米ドル、中長期が13億米ドルとなっております。保険種、地域ごとの内訳では、短期輸出保険は南米・欧州で最も支払が増加。中長期でも南米がサハラ砂漠以南の次に多い支払となっており、非常危険による支払が年々増加しております。

2.主な議論

 短期・中長期・投資の各委員会に分かれて、各機関のビジネス動向、それぞれの課題・今後の方向性、国別リスク等について議論が行われました。より活発な議論を促すため、少人数による分科会が設けられ、保険料設定、国とECAの関係といった具体的トピックスや、イラク、インド、エジプト等の関心国に対する意見交換がなされました。特にIT分野についての関心は高く、短期・中長期委員会でそれぞれセクションが設けられました。全体会合では、世界経済の概況についてのプレゼンや今後のBUの運営方針等について幅広い議論が行われました。
次回は、春期会合が2020年5月にハンガリーのブダペストにて開催される予定です。

3.事務局・ホストより

 BU議長のBeatriz Reguero氏より現状の貿易概況に関して、世界貿易は膨大なリスクに日々曝されている。これらの多くは政治的、社会的、構造的、且つ周期的な要因に密接にリンクしている。BUという枠組みを通してこれらのリスクに対処していくのが我々ECAのビジネスであると述べました。
 NEXIは、今後とも日本の輸出や対外投資をさらに支援するべく、BUの場などを通じて、国際情勢の聴取や協力体制の拡大に努めてまいります。

会場の外観
会場の外観

BU総会の様子
BU総会の様子(写真:NEXI撮影)


1 Berne Unionは、その正式名称を国際輸出信用保険機構(International Union of Credit and Investment Insurers)といい、BUのウェブサイトによれば2019年11月現在で85機関が加盟している、輸出信用保険分野において国際的に権威のある機構です。参加機関の中には、公的機関(NEXIの他、米:US EXIM、中:SINOSURE、英:UKEF、加:EDC等)、公の機能を持ったプライベートメンバー(独:EH GERMANY、仏:Bpifrance、蘭:ATRADIUS等)、完全なプライベートメンバー(AIG、ZURICH等)、更に多国籍機関(米:MIGA等)などさまざまな性格の機関が含まれています。 BUメンバー全体で年間世界貿易額のおよそ13%にあたる支払いリスクをカバーしています。
2 出典:BU事務局資料

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